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2022年5月22日(日)

きょうの潮流

 教育とメディアは常に政治圧力にさらされてきました。なぜ標的にされるのか。屈した後には何が待ち受けているのか。答えは公開中のドキュメンタリー映画「教育と愛国」の中にあります▼監督は、大阪・毎日放送の斉加尚代ディレクター。2017年放送の番組をベースに、追加取材をして完成させました。教科書検定をめぐって、ある編集者がこぼします。「(調査官は)直接こういうふうに直せとは言わない。実際は『圧力』がかかっているんだけれども、直した責任は教科書会社にある」。メディアと同じ忖度(そんたく)の構図です▼驚いたのは、2001年の検定を機に、教科書会社の老舗である日本書籍が倒産していたことでした。「慰安婦」問題等の記述が右派勢力の標的となったことが発端。それでも「子どもたちに歴史と向き合ってほしい、という思いは間違っていなかった」と元編集者は語ります▼一方、既存の教科書を「自虐史観」と攻撃するグループの歴史学者は、「(歴史から)学ぶ必要はないんです」と断言。想定外の答えにつかの間、沈黙が流れます。鼠(ねずみ)壁を忘る壁鼠を忘れず。圧力をかける側は、かくも自覚がないものか▼映画は大阪を舞台にした教育行政の変貌にも焦点をあてます。「教育の政治介入は、まさに大阪から始まった」と斉加監督。中心となったのは安倍晋三元首相と組んだ大阪維新の会でした▼権力の監視こそがジャーナリズムの役割。維新旋風吹き荒れる大阪で、果敢に挑んだ放送ウーマンの仕事に拍手を送りたい。


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