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2022年5月21日(土)

刑法改定案

山添議員の質問(要旨)

参院本会議

 日本共産党の山添拓議員が20日の参院本会議で行った刑法改定案への質問(要旨)は次の通りです。


 侮辱罪は、表現内容を理由とする刑罰です。不当な制限により、本来自由に行える表現行為が萎縮することは許されません。

 2019年の参院選、安倍元首相が札幌市内で行った街頭演説で「安倍辞めろ」などと声を上げた市民2人を北海道警が排除。札幌地裁は今年3月、警察官の行為などを違法として、国家賠償請求を認める判決を下しました。「表現の自由」のなかでもとりわけ尊重されなければならない「公共的・政治的事項に関する表現行為」であったとしています。

 国家公安委員長は「現場の警察官がそれぞれの状況を踏まえ法律に基づき必要と判断した措置だ」「正しかった」と答弁を繰り返します。不当な弾圧でないと開き直るなら、侮辱罪の恣意(しい)的な運用の懸念も払拭(ふっしょく)されません。

 現行犯逮捕等のインパクトは自由な言論・表現への脅威となり萎縮効果を生みます。憲法上特に重要な権利である「表現の自由」とのかかわりは慎重な検討が必要です。

 法案は、懲役と禁錮を廃止し、新たな自由刑として拘禁刑を創設するものです。

 懲役刑が、殺人、放火、強盗などに対する刑罰であるのに対し、禁錮刑は政治犯や過失犯などが対象。特に政治犯は、通常の犯罪者と異なりその名誉を重んじた処遇を行うべきだという考えの下に、刑務作業を強制しない禁錮刑を科すべきとされてきました。戦後の刑法改正をめぐる議論でも、政治犯・国事犯の思想を強制労働で改造するようなことがあってはならないという配慮から懲役刑と禁錮刑の区別が残されてきました。刑罰によって、人の内心まで変えることは許されません。

 一方、本法案の拘禁刑は「改善更生を図るため、必要な作業を行わせ、又(また)は必要な指導を行うことができる」とし、すべての受刑者に刑務作業と改善指導を義務づけています。

 国連被拘禁者処遇最低基準規則は「刑期が許す限り、釈放後、法を遵守(じゅんしゅ)する自立した生活を営む意志と能力を持たせることを目的としなければならない」とし、社会復帰の支援を国家の側に義務づけ、受刑者には社会復帰のための処遇に能動的に参加する権利を保障すべきだとしています。

 拘禁刑の下で、懲罰の威嚇のもとに改善更生を強いることとなれば、国際的に求められる受刑者への処遇水準からますますかけ離れてしまうのではありませんか。


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