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2022年5月21日(土)

法令違反24件 実は400件超

高圧ガス保安法案 政府資料に重大誤り

岩渕議員の追及で判明

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(写真)岩渕友議員

 “法令違反24件は実は400件超だった”―。高圧ガス保安法等改定案の策定のもととなった政府資料に、立法事実に関わる重大な誤りがあることが参院経済産業委員会の審議から明らかになりました。日本共産党の岩渕友参院議員の追及で判明したもの。同改定案は高圧ガスなどの保安検査の規制を緩和するもので、ひとたび事故が起これば人命に関わわります。立法過程に誤りがあればその責任は重大です。19日に予定されていた質疑終局は取りやめになり、今後の審議日程は白紙になっています。

 同改定案は、電気・都市ガス・高圧ガスの保安検査や手続きを、今以上に事業者任せにするもの。誤りが分かったのは、経産省が規制緩和を進める根拠としてきた、高圧ガス保安法の認定事業所での法令違反について記した資料です。2021年12月に産業構造審議会の分科会に経産省が示した資料で、直近10年で累積わずか24件しか高圧ガス保安法の違反がなかったとし、法令違反は減少していると記しています。

 ところが岩渕議員の調査で、21年の太陽石油四国事業所での67件の法令違反が1件と数えられていたことが判明。認定取り消しされた法令違反も欠落していたことが分かりました。

 さらに、岩渕議員が19日の参院経産委員会で追及すると、死亡事故を起こした法令違反も欠落するなど資料の新たな誤りも明らかになり、委員会室は騒然。他党からも「審議の前提が崩れている」などの声が上がり、質疑終局の予定は取りやめになりました。

 さらに経産省が20日の経産委理事懇談会で配布した新たな資料からは、12年に1件と報告されていた東燃ゼネラル(現エネオス)堺工場では130件の法令違反があったことが判明。累積24件としていた法令違反が400を超していたことが明らかになりました。経産省は国会での答弁にも誤りがあったと認めました。

審議の前提崩れ 廃案にすべきだ

 岩渕友議員の話 改定案は事業者任せの高圧ガス保安をさらに進めるものであり、国民の命や安全に関わる重大な問題です。その改定案の審議の前提となる資料にこれだけずさんな誤りがあることが明らかになりました。経産省が規制緩和を進めるため、法令違反を少なく見せようと意図していると思わざるを得ません。

 改定案をめぐっては昨年の産業構造審議会の小委員会で高圧ガス保安協会の近藤賢二会長が、認定事業所でも10年間で3割弱が法令違反行為をしていると指摘し、「安全性の確保がないがしろにされている」として規制緩和の方針に反対していました。

 国民の命と安全をどう考えているのか経産省の姿勢が問われています。審議の前提は崩れており、改定案は廃案にすべきです。


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