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2022年5月13日(金)

きょうの潮流

 道路わきに供えられた花束が雨にぬれていました。ひしゃげた鉄柵の向こうには米軍基地がひろがり、上空では戦闘機が爆音を響かせる。そこには、いまも変わらない姿がありました▼沖縄・北谷(ちゃたん)の国道58号で8日朝、20歳の米兵が運転していた車が歩道に乗り上げ、歩いていた男性をはねました。男性は搬送先の病院で間もなく死亡。現場には生々しい傷痕が残っていました。米兵の身柄は米軍の管理下にあり、詳しいことはわからないといいます▼本土復帰から50年の沖縄。この半世紀に殺人や強盗などの刑法犯で摘発された米軍関係者は6千人をこえ、性暴力も後を絶ちません。泣き寝入りした被害者はその何倍にも。いまだにおびやかされた日常が続きます▼県内では節目の催しがさまざまに開かれていますが、街や人びとに高揚は感じられません。大型連休のにぎわいもつかの間、またもコロナの感染拡大で人出もまばらに。戦争や米軍の占領によってずたずたにされた生活。求めてきた自立型の経済をつくることも「まだ道半ば」(デニー知事)です▼一方で復帰とは何だったのかを問う企画は盛んに。たたかう現場では節目を機に、改めて動かぬ現状を打ち破ろうとの声が上がっていました▼沖縄の貧しさや悲しみをつづった『海をあげる』の著者で、普天間基地の近くに住む琉球大教授の上間陽子さんは、一つの希望についてこう語っています。それは「私たちはまだ正義や公平、子どもたちに託したい未来を手放さない」ことだと。


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