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2022年4月30日(土)

きょうの潮流

 この歌を行進曲風に改作してほしい―。労働者や民衆のたたかいを励ます曲をつくっていた荒木栄の元にきた依頼。それが「沖縄を返せ」でした▼日本から切り離された沖縄の復帰をもとめる声がわき起こっていた頃。「民族の怒りをたたきこむつもりで歌ってもらえれば力強いものになると思う」。荒木の返還への思いもこめた歌は、鹿児島から東京へと向かう最初の沖縄行進で全国にひろがっていきました▼時をへて、この歌が「国境の海」によみがえりました。かつて、鹿児島の与論島と沖縄の国頭村の間で境界とされた北緯27度線上で復帰を誓いあった海上集会。沖縄がみすてられた「屈辱の日」から70年にあたる28日、再現された集会で参加者の合唱が海原に響きました▼当時の集会にも加わった浦添市の青山恵昭さんは「今回は今の沖縄、日本を問い直す」集いだったと。悲惨な時代に思いをはせながら、いまだ米軍の横暴に苦しめられている現状を訴えて▼同じ日、岸田政権は辺野古新基地の設計変更を承認し建設を受け入れるよう沖縄県に強要。国会では過去の反省も基地の縮小もなく、県民の命とくらしを脅かしている日米地位協定の見直しもない本土復帰50年決議が可決されました▼いま「沖縄を返せ」は、少しずつ歌詞をかえて歌われているといいます。「民族の怒りに燃ゆる島」は「県民の~」に。最後の「沖縄を返せ」は「沖縄へ返せ」と。歴史の波にもまれながら継がれてきた歌。基地のない平和な沖縄が訪れる日まで。


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