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2022年3月22日(火)

主張

重点措置全面解除

なりゆき任せの姿勢を改めよ

 新型コロナウイルス感染対策の「まん延防止等重点措置」が、東京や大阪など18都道府県で解除されました。新規感染者数は減少傾向とはいえ、まだまだ高い水準であり、病床使用率もなかなか下がりません。岸田文雄首相は16日の記者会見で「出口ははっきり見えてきた」と述べましたが、感染が拡大に転じた場合の対処方針の実効性は不確かです。なりゆき任せの政府の対応が「第6波」を深刻化させたことに対する根本的反省も示しませんでした。コロナ感染の再拡大による新たな危機を招かないために、政府はこれまでの姿勢を大本から改めるべきです。

依然として警戒怠れない

 まん延防止等重点措置は1月9日に沖縄、広島、山口の3県に適用され、最大時は36都道府県に広がりました。全面解除は約2カ月半ぶりです。営業時間短縮や酒類提供制限の措置が解かれます。

 一方、今後の感染状況は予断を許しません。コロナ対策を助言する厚生労働省の専門家組織アドバイザリーボードの15日の会合では「現在の感染状況は、継続的な減少傾向が見られた昨夏の感染拡大状況とは異なり、新規感染者数の減少は緩やか」「しばらくの間、新規感染者数が高いレベルで推移していくことが予想される」と評価しています。そして、「普段会わない方との接触の機会が増える春休みや年度替わりの時期を迎える」ことの影響に要注意と記しています。

 オミクロン株の派生型で感染力がさらに強いとされる「BA.2」系統に置き換わることも大きな懸念要因です。アジアや欧州の各国では新規感染者数が再び増加し始めた背景に派生型の広がりがあると言われ、警戒は欠かせません。

 政府から解除案を諮問されたコロナ対策の基本的対処方針分科会(17日開催)の尾身茂会長は、2人が消極的な賛成だったと述べ、感染リバウンドへの警戒が根強くあることを紹介しました。

 ところが岸田首相の記者会見は、甘い見通しが前面に出ており、専門家らの危機意識と落差がありました。「出口」が見えたという発言は、事態を楽観視するメッセージとして受け取られかねません。感染のリスクを正確に丁寧に伝えなければ、国民の理解も協力も得られません。

 これまでの解除の基準を緩め、病床使用率が50%を超えていても解除できるとしたことも恣意(しい)的な運用だと批判を招いています。いまも余裕のない状態が続いている医療機関や保健所の現場からは「なぜ今のタイミングで解除なのか」「結論ありきではないのか」との声が相次いでいます。

痛苦の事態に反省あるか

 第6波の感染者数は昨年の第5波を大きく上回り、過去最多にのぼり、高齢者に感染が広がる中で死者数も8000人以上とこれまでで最悪となりました。ワクチン3回目接種の大幅な立ち遅れ、感染急拡大に追い付かない医療・検査体制の脆弱(ぜいじゃく)さなど岸田政権の失政がもたらした結果です。

 オミクロンという新たな変異株の特徴を踏まえた対策の全体像を示さず、問題が起きたら手当てをするというやり方を繰り返してはなりません。痛苦の事態を引き起こしたことを徹底検証し、真摯(しんし)な反省のうえにたった、コロナ対策を講じることが急務です。


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