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2022年3月2日(水)

主張

自民・京都府連疑惑

組織的買収は濃厚 解明不可欠

 自民党京都府連(西田昌司会長)が国政選挙のたびに候補者から資金を集め府議や市議に配っていたことが問題になっています。政党助成金が原資に充てられた可能性もあり、河井克行元法相・案里元参院議員夫妻による2019年参院選広島選挙区での大規模買収事件との共通性も指摘されています。府連が仲立ちして出所を隠す「マネーロンダリング(資金洗浄)」をした疑いが濃厚です。日本共産党の井上哲士議員は2月28日の参院予算委員会で岸田文雄首相に解明を求めました。選挙買収の疑惑をあいまいにできません。

マネーロンダリングか

 自民党京都府連の疑惑は『文芸春秋』3月号が詳しく報じました。衆院選や参院選の際、候補者に府連への寄付を割り当て、それぞれの選挙区の府議や市議に1人50万円ずつ配布していました。同誌は組織的に行われていたことを示す内部文書の存在を明らかにしました。京都府連の事務局長が14年に交代する際に作成したとされる「引継書」で、資金の集め方や配分の仕方を記録していました。

 「候補者がダイレクトに議員に交付すれば、公職選挙法上は買収と言うことになりますので、京都府連から交付することとし、いわばマネーロンダリングをするのです」との記載があるとされます。

 候補者の府連への資金提供や府連から府議らへの資金配分はいずれも政治資金収支報告書に記載されています。同誌などによると、資金提供は、12年総選挙で2400万円、14年総選挙で2550万円、17年総選挙で2450万円、13年参院選で2450万円、16年参院選で2400万円、19年参院選で2670万円となっています。合わせて約1・5億円もの資金が動いた勘定です。

 現職閣僚の二之湯智国家公安委員長(京都選挙区選出の参院議員)は国会で、府連に寄付したことや「引継書」の存在を認めました。しかし、府連が府議らへ交付したのは政治活動資金であり、買収ではないと言い張ります。

 資金を受け取った地方議員の中には「選挙の金」との認識があったと語る人もいると報道されています。買収で有罪になれば3年以下の懲役または禁錮、50万円以下の罰金に処されます。資金の出し入れを政治資金収支報告で報告していても、違法な買収資金を政治活動費とごまかして届け出れば虚偽記載で5年以下の禁錮または100万円以下の罰金です。

 候補者が府連に提供した資金には政党助成金が含まれていたとも報じられており、税金が買収に使われていたとすれば、それ自体、重大です。憲法違反の政党助成金の問題点を浮き彫りにしています。

首相は説明責任果たせ

 買収は民主主義の根幹を揺るがす疑惑です。真相解明を求める井上議員の質問に、岸田首相は、必要であれば説明を尽くしてもらうとひとごとの答弁に終始しました。二之湯国家公安委員長への首相の任命責任にもかかわります。

 自由法曹団京都支部の弁護士ら20人は自民議員ら59人を買収・被買収で告発しました。河井夫妻の大型買収事件や数々の「政治とカネ」の問題に続く、京都府連の組織的買収疑惑に国民の政治不信は募ります。全容解明なしに政治への信頼は回復できません。


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