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2022年2月11日(金)

きょうの潮流

 昔、山でとった金を背負って降りてきた者たちがいた。すれ違った旅僧から荷は何かとたずねられ、鉛だと答えた。着いて荷を広げると、金が鉛になっていた。それからこの山はいくら掘っても出るのは鉛ばかりになってしまった▼佐渡相川の伝説です。〈五月晴れや佐渡のお金が通るとて〉。一茶の句にあるように佐渡金山は江戸幕府の財政の源にもなりました。一方で地底の労働は「佐渡の金山この世の地獄」とうたわれるほど過酷でした▼戦時中ここで朝鮮人の強制労働が行われ終戦までのべ千人以上が送り込まれました。肺を患う者や軍隊にとられる若者の代わりに集められ、厳しい統制のもと坑内作業に従事。死傷者や逃亡者が相次いだといいます(広瀬貞三「佐渡鉱山と朝鮮人労働者」)▼こうした負の歴史を認めようともせずに、岸田政権が佐渡金山を世界遺産に推薦することを決めました。「歴史戦」と称し、たたかえと挑発する安倍元首相らに付き従って▼朝鮮人の強制労働は新潟県史や地元の町史にも記されています。「明治日本の産業革命遺産」が登録されたときも同じでしたが、人びとの記憶から事実を消そうとしながら、よくも「正しい歴史認識」の形成などと言えたものです▼きょうは虚構にまみれた戦前の紀元節を復活させた「建国記念の日」。児童文学作家の山中恒さんが紀元節の体験を本紙に語っています。「神の国日本」を信念として子どもの心情に植え付けようとするもので、伝説を史実として学ばされたと。


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