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2022年2月4日(金)

きょうの潮流

 「一つの世界、一つの夢」。あのとき、中国は世界にむけて呼びかけました。当時の胡錦濤国家主席は「世界各国の人民とともに平和と進歩、友好と交流、調和と発展を追求することが中国人民の夢」だと▼2008年の夏、中国で初めて開いたオリンピックは国際親善が漂い、熱気に包まれていました。舞台となった北京ではマンションやビルが次々と建てられ、その壮大な街づくり、人的なパワーに圧倒されました▼あれから14年。史上初の夏季・冬季両大会の開催地となった北京で、ふたたび五輪が開幕します。しかし前回のような盛り上がりはみえません。いまだコロナ禍にある世界、そして中国政府による人権侵害が暗い影を落としています▼新疆ウイグル自治区の抑圧政策、民主主義を求める香港市民やメディアへの弾圧、中国共産党の元幹部から性暴力をうけたことを告発した女子プロテニス選手をめぐる言論統制。いずれも国際社会から厳しく批判されています▼人間の尊厳に重きをおき、世界の平和に寄与するのが五輪の理念。そこからの逸脱は、開催国の資格が問われます。同時に、感染拡大の波のなかで東京大会を強行し、五輪の大義を大きく傷つけた国際オリンピック委員会(IOC)の姿勢も「平和の祭典」に水を差しています▼今大会のスローガンは「一起向未来(ともに未来へ)」。いまの中国政府やIOCが思い描く社会や五輪像とは…。選手の活躍を願いつつ考えてしまいます。そこに、人間賛歌はあるのだろうか。


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