しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2022年1月25日(火)

主張

2022国民春闘

大幅賃上げは経済社会の要請

 新型コロナ感染拡大は、新自由主義の経済政策で疲弊しきった労働者・国民の暮らしに追い打ちをかけ、経済社会のもろさをあらわにしています。年末年始に全労連など労働組合とさまざまな市民団体が共同して取り組んだ「コロナ被害相談村」「女性相談会」には1年前を上回る人が訪れました。非正規、フリーランス、女性など弱い立場にある働く人の苦境が深刻化しています。

冷たい社会からの転換を

 新自由主義のもとで非正規雇用が増やされ、低賃金を押し付ける労働法制の規制緩和が推進されました。社会保障費の削減で、医療・介護や公衆衛生が切り捨てられ、消費税の連続増税が富裕層・大企業減税と一体で行われました。

 これらの施策は、日本を格差と貧困を広げる“冷たい社会”にしただけでなく、経済基盤を掘り崩しています。日本は主要国で最も「成長できない国」、コロナに感染した人の在宅放置が相次ぐなど「危機に弱い国」になりました。各国の競争力ランキングでは、かつての1位から31位に転落しています。

 新自由主義からの根本的転換は差し迫った課題です。そのためには大幅賃上げと賃金底上げが欠かせません。労働者の切実な要求であるとともに、日本の経済社会からの要請です。働く人の所得が増えれば、個人消費・内需が拡大し、経済成長の好循環を生み、強い経済の再建につながります。

 岸田文雄首相も「新しい資本主義」を掲げ、賃上げを財界に要請しています。しかし、政府自らがやることといえば、看護・介護・保育労働者らへの微々たる賃上げであり、国家公務員の賃下げです。そもそも首相は「新自由主義の弊害を乗り越える」と口にしても、弊害をもたらした自民党政治の悪政に無反省で、政策を大きく変える姿勢はありません。

 経団連は「新しい資本主義の起動にふさわしい賃金引上げが望まれる」と今年の方針「経営労働政策特別委員会報告」に記しました。一方で「自社の実情に適した賃金決定」が大原則と、大幅賃上げにはかたくなに背を向けています。

 全労連・国民春闘共闘委員会は、月額2万5000円以上の賃上げ、全国一律・時給1500円の最低賃金、安定した雇用の確保を要求してたたかっています。全労連と共同するシンクタンク労働運動総合研究所(労働総研)の試算では、2020年度末の企業の内部留保は704・3兆円で、国内総生産(GDP)の1・3倍にもなります。2万5000円の賃上げは内部留保の2・80%、最賃1500円は2・98%を原資にすれば実現できます。それらによって国内生産額は75・13兆円押し上げられ、税収も7・07兆円増えます。

 内部留保は、労働者の犠牲と大企業優遇策でため込んだものです。その社会への還元は、要求の切実さと正当性からも、経済的合理性からも必要不可欠です。

労働組合の団結の力で

 年末年始に「相談村」を訪れ「自己責任」「自助」の呪縛から解き放たれた人たちは笑顔を取り戻しました。「あなたの要求は当然」「一緒に声を上げよう」。ここに労働組合運動の原点があります。

 労働組合の団結の力で国民春闘に勝利し、“やさしく強い経済”をつくりましょう。


pageup