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2022年1月23日(日)

主張

日米首脳会談

米国追随で果てしない軍拡か

 岸田文雄首相がバイデン米大統領とテレビ会議方式で初の本格的な会談を行いました。両氏は中国への対抗を念頭に日米同盟をさらに強めることで一致し、岸田氏は新たな「国家安全保障戦略」などを策定し、「敵基地攻撃能力」の保有検討を含め日本の軍事力の飛躍的な強化を表明しました。日本が違憲の「敵基地攻撃能力」の保有に踏み出すことは、軍拡競争の悪循環に拍車をかけ、衝突や戦争という破局的な事態にもつながりかねません。米国に追随し、そうした危険な約束をバイデン氏にしたことは極めて重大です。

地位協定改定の声に背

 会談で両氏は、中国による東シナ海や南シナ海での一方的な現状変更の試みや経済的威圧に反対し、同国をめぐる諸課題に日米が緊密に連携して対応することで合意しました。また「台湾海峡の平和と安定の重要性」を強調し、「日米同盟の抑止力・対処力を一層強化する」ことを確認しました。

 その上で岸田氏は、外交・軍事の基本方針である「国家安全保障戦略」とそれに基づく「防衛計画の大綱」、「中期防衛力整備計画」の3文書を改定し、「日本の防衛力を抜本的に強化する決意」を示しました。さらに「敵基地攻撃能力」も含めてあらゆる選択肢を排除せず検討していくと説明し、バイデン氏は「支持」を表明しました。

 米ホワイトハウスが会談後に発表した声明では、バイデン氏が特に日本の防衛費の支出増加を歓迎し、「こうした非常に重要な投資を長期にわたって持続させることの重要性を強調した」とされています。日本に果てしない軍拡を迫るもので看過できません。

 中国による東シナ海や南シナ海での覇権主義の行動に対しては、国連憲章と国際法に基づいた冷静な批判こそ何よりも重要です。あらゆる紛争を話し合いで解決し、平和的に共存していく道を追求する外交努力に徹することが求められています。

 新型コロナウイルスのオミクロン株の感染が沖縄県や山口県などの在日米軍基地から広がった問題については、岸田氏から指摘したといいます。しかし、日米で「新型コロナ感染症の拡大防止のために引き続き緊密に協力する」としただけです。在日米軍基地から入国する米軍関係者が日米地位協定によって日本の検疫の対象外になっていることは取り上げられなかったとみられます。

 日本政府の権限の下で米軍関係者の出入国管理や検疫を行えるよう地位協定の抜本改定を求める沖縄県などの声に背を向けることは許されません。

核のない世界遠ざける

 会談で両氏は「『核兵器のない世界』に向けてともに取り組んでいく」とし、21日の「NPT(核不拡散条約)に関する日米共同声明」を強調しました。しかし、同声明は22日に発効1年を迎えた核兵器禁止条約には一切触れていません。一方、両氏が「支持」を表明した7日の日米外交・軍事担当閣僚会合(2プラス2)の共同発表は、核兵器による「米国の拡大抑止」の「決定的な重要性」を指摘し、「核の傘」にしがみつく姿勢をあらわにしています。

 会談で岸田氏は「現実主義に基づく核軍縮の考え」を説明したといいますが、それは「核兵器のない世界」を遠ざけるだけです。


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