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2022年1月22日(土)

国民の声突き付け、岸田内閣ただす

小池書記局長の代表質問

参院本会議

 日本共産党の小池晃書記局長は21日の参院本会議で、コロナ禍や「格差と貧困」にあえぐ人々の実態を示し、米軍基地に苦しめられる沖縄の声や核兵器禁止条約への参加を求める国民の声を突き付け、岸田文雄首相の認識を正面からただしました。


写真

(写真)参院本会議で代表質問をする小池晃書記局長=21日、国会内

感染拡大 営業自粛

国の責任で緊急支援こそ

 まん延防止等重点措置が16都県に適用されるなか、感染拡大のたびに営業自粛などを求められてきた中小業者やフリーランスから怨嗟(えんさ)の声が上がっています。

 小池氏は、中小業者の支援金について、再び時間短縮を要請されても月次支援金が終了し、事業復活支援金は受け付けすら始まっておらず、「現時点では中小業者の支援策は何もない」と指摘。金額も持続化給付金の半分にすぎないとして、事業復活支援金の増額と審査の改善とともに、支給を急ぐよう求めました。

 岸田首相は「1月31日の週にも申請の受け付けを始める」と述べるのみで、増額や審査の簡素化については答えませんでした。

 「ずっと子ども用の小さな毛布を使っている」「ずっと使っていてカビだらけ。毛布がほしい」。小池氏はコロナ禍で起きている切実な声を紹介。「寒空のなか、小さな毛布にくるまって、親子で肩寄せ温めあう世帯が存在する。それがこの国の姿だ」と述べ、18歳以下の子どもへの10万円の給付金についてただしました。

 同給付は、10月1日時点の児童手当の受給者(「世帯主」、多くは男性)に対して支給することになっており、昨年9月以降にドメスティックバイオレンス(DV)などで避難したり、離婚したシングルマザーには届いていないという告発が相次いでいます。

 小池氏は岸田首相が制度の不備を認めたことを指摘し、「ならば自治体任せにせず、国の責任でただちに是正すべきだ」と追及。個人向けの10万円の給付対象について「非課税世帯に限られ、非正規雇用で仕事を失った課税世帯には、いくら収入が減っても届かない」として、対象を大幅に拡大するよう迫りました。

 岸田首相は、いずれの給付金についても制度の改善にはふれず、冷たい姿勢を示しました。

オミクロン株

第6波抑制間に合わない

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 「感染抑制と社会経済活動の両立を図るカギ」―。小池氏は感染力の強いオミクロン株への対策として、ワクチンと検査、そして保健所や地域医療機関への緊急支援をあげました。

 ワクチンの3回目接種は遅れに遅れています。小池氏は、ワクチン接種の6カ月後から抗体価は下がるとされているのに、政府が3回目接種を原則8カ月後としたことについて、「医学的根拠がなかったことを認めるか」と追及。「このままでは第6波ピーク前の感染抑制に、到底間に合わない」と迫りました。

 検査の拡充も待ったなしです。小池氏は、PCR検査の大幅拡充や家庭・職場へ抗原検査キットの無料配布とともに、医療や介護、教育、保育現場などの感染拡大防止のため、「国の責任で頻回検査の計画を立てて実行すべきだ」と主張。保健所業務ひっ迫の実態を指摘した上で、「緊急の体制強化と共に保健所の数と人員を増やすことを明確にすべきだ」と訴えました。岸田首相は、いずれの対策にも国の責任を果たす姿勢をみせませんでした。

 水際対策では、米軍基地という「大穴」が開いています。小池氏は、政府が米側に照会してはじめて、米軍が出入国時のPCR検査を中止し、行動制限期間中も基地内を自由に動き回れたことが明らかになったとしていることについて、「米国は何の連絡もせずに、勝手に水際対策を緩めていたのか」と追及。地位協定を抜本改定して、国内法を適用するよう要求しました。岸田首相は、地位協定改定には「日米間で連携をより一層強化していく」と背を向けました。

新自由主義

格差・貧困 広げた原因は

 小池氏は、岸田首相が施政方針演説で「新自由主義」の「弊害」として「公平な分配が行われず生じた、格差や貧困の拡大」をあげたことに言及し、「公平な分配が行われなかったのは、自然現象ではない」と指摘。「『格差や貧困』を広げたのが、労働法制の規制緩和であることに疑いの余地はない」と強調し、不安定な非正規雇用が4割を占め、ワーキングプアを激増させたにもかかわらず、「なぜ雇用の規制緩和路線を改めようとしないのか」と迫りました。

 岸田首相は、「非正規雇用の待遇改善に取り組んできた」などと述べるだけで正面から答えませんでした。

 年金、医療、介護など社会保障の負担増・給付削減も「貧困と格差」を広げました。小池氏は21日発表された2022年度の年金削減は、安倍政権が導入した賃金マイナススライドによるもので、食料品や灯油など生活必需品の価格が高騰するさなかの年金減額は、生活実態を無視するものだと批判しました。

 公的年金は東京都を除く46道府県で県民所得の10%以上を占めています。また秋田、富山、長野など13県では公的年金が「家計最終消費支出」の20%以上になっています。小池氏は、県民所得と家計消費を支える土台の公的年金削減は、コロナ危機にあえぐ地域経済に追い打ちをかけると強調しました。

 岸田首相は年金削減について「(コロナ禍の20年度の)賃金がマイナスとなったことを反映している」と冷たく語りました。

 小池氏はさらに消費税の連続増税の一方、大企業・大富豪への減税が「格差と貧困」を広げたと告発。また輸入自由化など新自由主義の農政によって農林漁業と農村も疲弊し、食料自給率は戦後最低の37%に低下したと批判した上で、政府目標の「食料自給率45%」をどう達成するのかとただしました。

 岸田首相は「成長のための投資と改革を大胆に行う」などと述べただけで、具体的な手だてを示せませんでした。

本土復帰50年の沖縄

県民の願いは基地ない島

 小池氏は、本土復帰から今年で50年を迎える沖縄がたどった苦難の歴史に言及しました。復帰を控えた1971年当時、屋良朝苗琉球政府下でまとめられた「復帰措置に関する建議書」には「『基地のない平和の島としての復帰』を強く望んでいる」との文言があると紹介し、「今も県民の苦しみは続いている」と述べました。

 その上で「普天間基地返還が実現しないのは復帰にかけた県民の願いに背き、将来にわたって沖縄に基地をしばり続ける辺野古新基地建設を条件としているからではないか」と厳しく批判し、「無条件返還を米軍に求めるのが県民に対する政府の責任だ」と迫りました。

 岸田首相は「普天間飛行場の危険性の除去を考え合わせ、辺野古が唯一の解決策であり、工事を着実に進める」と強弁しました。

 さらに小池氏は、鹿児島県の馬毛島に建設されている米軍・自衛隊基地も西之表市長や地元の同意は得られていないと指摘。基地建設強行の中止を迫りました。

核兵器禁止条約

「核兵器廃絶」に背く首相

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 核兵器禁止条約の発効から1年。小池氏は、昨夏の世論調査で「禁止条約に参加するべきだ」が71%、「締約国会議にオブザーバーとして出席するべきだ」が85%に上ったと紹介。岸田首相は「被爆地出身の総理大臣」だと述べながら、核禁条約に一言も触れないばかりか、バイデン米政権が検討しているとされる「核先制不使用」宣言を妨害するなど「核廃絶」に逆行する態度だと批判しました。

 小池氏は、広島に本社を置く中国新聞も社説で「(岸田政権下で)『核の傘』依存の姿勢がむしろ強まっているように見える」と批判していると紹介。核兵器の非人道性を国際社会に訴え、核禁条約に参加し、核兵器国に核廃絶を迫ることこそ「唯一の戦争被爆国」の首相としての責務だと迫りました。

 岸田首相は、「核兵器のない世界への出口とも言える重要な条約だ」と述べながら核保有国が参加していないとして、またも核禁条約に背を向けました。

ジェンダー平等

ハラスメント禁止規定を

 小池氏は、年間240万円にのぼる男女の賃金格差を是正すれば、このこと自体が大きな賃上げとなり、賃金の平等はジェンダー平等社会の土台になると指摘。岸田首相が前日の志位和夫委員長の代表質問に対して、男女賃金格差に関し「有価証券報告書の開示項目にする」と答弁したことについて、「一歩前進」と述べ、「女性活躍推進法」での実態把握と公表の義務付けを迫りました。

 首相は、「女性活躍推進法」での義務付けに触れず、あいまいに答弁しました。

 また小池氏は、国際労働機関(ILO)のハラスメント禁止条約に対し、日本政府が採択で賛成したにもかかわらず、いまだに批准せず、国内法には先進国で唯一ハラスメント行為の禁止規定がないと指摘。セクシュアルハラスメント、パワーハラスメントの深刻な実態を示し、「職場での『セクハラ・パワハラ』が被害者の心身に重大な打撃を与える人権侵害であり、ただちに是正すべきという認識はあるか」と迫りました。

 岸田首相は「条約の趣旨は妥当」としながら、批准は「検討を要する」と先送りする姿勢を示しました。

統計改ざん問題

異常体質に徹底的メスを

 小池氏は、国土交通省の建設工事受注動態統計が改ざんされていた問題について、同省が2020年1月に会計検査院から指摘された後も、改ざんと二重計上を続けていたと指摘。「組織ぐるみの意図的な隠ぺい、改ざん行為だと認めるか」と追及。二重計上により建設業者の受注実績と国内総生産(GDP)にどのような影響を与えたか、「再計算と検証が必要だ」と迫りました。

 岸田首相は、検証委報告で長年にわたる複数の不適切処理があったと認めざるをえませんでした。

 小池氏は、公文書や統計は民主主義の基礎であり、国民のための「公共財」であるにもかかわらず、安倍政権以来の「桜を見る会」、「森友疑惑」など公文書改ざんや虚偽答弁が繰り返されたとして、「異常な体質に徹底的にメスを入れよ」と迫りました。


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