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2022年1月22日(土)

きょうの潮流

 「太平洋で漁師が、1000隻もの船が被ばくしていることを知ってほしい」。昨年3月に亡くなった大石又七さん。マグロ漁船・第五福竜丸の乗組員として68年前に「死の灰」を浴びました▼米国が核実験場にしていたマーシャル諸島ビキニ環礁。そこで水爆実験に巻き込まれたのです。大石さんが訴えるように多くの漁船が被ばく。しかし日米両政府はその事実を闇に葬ってきました▼隠してきた文書を政府が公開したのは8年前、ビキニ事件から60年後でした。そこに至るまでのたたかいは本紙記者がまとめた『核実験被ばく者の真実』(新日本出版社)に詳しい。実験場にされたマーシャル諸島や米国の被ばく兵士をはじめ、核なき世界をめざす国際連帯にもふれています▼取材した被ばく者たちが口をそろえるのが、世界の流れを変えた核兵器禁止条約の意義と日本政府に批准を求めること。その発効からきょうで1年。批准国は59を数え、3月には最初の締約国会議も開かれます▼米国の核の傘のもとにあるNATO(北大西洋条約機構)の一員であるドイツやノルウェーもオブザーバー参加を表明。しかし唯一の戦争被爆国で、広島出身の首相をもつ日本はいまだに背を向けています▼「私たちがたどった道を学べば将来の人の助けになる」。そんな思いでみずからの被ばく体験を語り続けた大石さん。今と未来の命のため、人類の悲願のため、たたかってきた人々を代弁して。「いつか必ず核兵器がなくなる日が来ると信じています」


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