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2022年1月20日(木)

きょうの潮流

 東京芸術劇場で公演中の「hana―1970、コザが燃えた日―」は、復帰直前の沖縄の基地の町が舞台。松山ケンイチ演じる、米軍車を乗り回すチンピラ男の言いぐさが振るっています▼「便利だよ、イエローナンバー(米軍車)。酒飲んでもスピード出してもケーサツに止められないし。ウチナーンチュ(沖縄の人)なら轢(ひ)き殺しても捕まらないし」▼その夜、米軍に対する人々の怒りが爆発します。酒気帯びで住民をはねた米兵を捕まえようとした群衆は、道端の米軍車両に火をつけ、およそ80台が燃やされました。1970年12月20日未明のコザ騒動です▼今年は沖縄復帰50年。繰り返される米軍による事件事故、そして、辺野古の新基地建設。沖縄の苦しみは今も変わらない思いにとらわれます。新型コロナで米軍基地が感染源になっても政府は何もしません▼先の舞台にこんなセリフもあります。「ヤマトでは戦争は終わったんですか? 戦争が終わったと思ってるウチナーンチュは、一人もいないと思いますよ」。大きな政治に個人は無力のように思えますが、かつて評論家の加藤周一さんはこんなことを▼選挙の投票行動はほとんど犠牲らしい犠牲を必要としない。しかし「長いものには巻かれろ」の現実主義か、「一寸の虫にも五分の魂」の人間的尊厳かを選ぶことができる。「魂は表現されなければ、それが存在するのかどうか、当人にさえもはっきりしない」。激戦の名護市長選。その一票の価値を物語っているようです。


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