2022年1月9日(日)
オミクロン株 基地から急拡大
米軍情報「少ない」
自治体 混乱に拍車
新型コロナウイルスの変異型「オミクロン株」が在日米軍基地から日本国内に急拡大しています。米軍から基地周辺の自治体に十分な情報提供がなされておらず、混乱に拍車をかけています。（井上拓大、嘉藤敬佑、田中真聖）
米海兵隊岩国基地がある山口県岩国市に隣接する広島県。基地由来の新型コロナウイルスが県内に広がり、広島市など１０市３町にまん延防止等重点措置を適用せざるをえなくなりました。
外務省から情報
「基地から情報が入ってきていない」。広島県国際課の担当者はいいます。岩国基地の感染情報は同基地の公式フェイスブックや外務省から得ています。
同県は４日付で▽大規模感染の原因究明と適切な情報提供▽マスクの着用など基地内外での基本的な感染対策▽水際対策▽日本人従業員などへの感染拡大防止対策に万全を期すこと―の４項目を同基地に要請しました。
政府と在日米軍は、基地内やその周辺で感染症対策が必要になった場合の情報交換について、２０１３年に覚書を交わしています。
覚書は、新型感染症を含め人にうつる６３の感染症が確認された場合「可能な限り早期に通報する」としています。ただ覚書の対象は基地がある１０自治体の保健所などです。広島県のような隣接自治体は含まれていません。
米軍基地を抱える地元自治体にも情報伝達は不十分な状況です。
まん延防止等重点措置が適用された山口県。岩国基地内で確認された日々の感染者数の情報が入ってきているものの、感染者の行動履歴や濃厚接触者の数など具体的な情報は来ていないといいます。同県も４日付で濃厚接触者、検査数などの情報提供と基本的な感染対策を徹底するよう米軍側に求めています。
英語表記伝わらず
米海軍厚木基地（神奈川県綾瀬市、大和市）では６日に米軍関係者６９人の感染が明らかになりました。
綾瀬市基地政策課の担当者は「米軍から感染者数の情報が全く入ってこないことはないが、やはり少ない。米軍基地のフェイスブックなどの情報を見て、基地を訪問して対話することがある」といいます。
厚木基地のフェイスブックはすべて英語表記です。担当者は「英語表記というのは米軍関係者に向けたものであるように見える。市民が情報を手に入れづらい。市長は７日に基地司令官と面談し、市民が安心できるよう情報提供してほしいと申し入れた」と説明します。
米空軍が管理する三沢基地（青森県三沢市）は、同市によると７日時点で感染者が１８３人となっています。
青森県保健医療調整本部の担当者は感染防止にかかわる情報提供は行われているとしつつ、こう語ります。「感染者数の状況などの報告が遅かった側面があり、必要な情報提供、報告が遅れていると感じる面もある。対策に必要な情報は適宜適切にほしいと基地に要請した」
