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2022年1月8日(土)

きょうの潮流

 鋭い詩風で人びとの心に言葉をひびかせた茨木のり子さん。2004年に発足した「九条の会」の賛同者として本紙日曜版に登場したことがあります▼戦後を代表する詩人が、憲法や平和への思いを率直に語った貴重なインタビュー。「9条は世界で一番新しい思想」だとして、当時の自衛隊イラク派遣に反対。一番大事なフレッシュな思想を、なし崩しにしてはならないと▼そのなかで茨木さんはこんな指摘もしていました。平和を守ってきた野党の役割を評価しつつ、「もっとおもしろい、生き生きとした言葉で、人の心をわしづかみしてほしい」「どこかで聞いた言葉ではなくて、国民の心にひびく言葉を工夫して」と▼劇作家で演出家の永井愛さんと小池晃さんが語りあった今年の新春対談。伝え伝わる言葉の大切さを永井さんも説いていました。「だまそうとする言葉に対してたたかうには、言葉により強い真実のパワーが必要で、真実って常に新鮮味がないと届きにくい」▼人間の主体性に働きかけ、心に浸透していくような表現は、政治の言葉の中にも必要なのかもしれない、と永井さん。ともに練りあげた言葉で思いを伝え、心を突き動かす表現者ならでは助言です▼茨木さんの詩には本人がいう「言葉に対する熱烈な思考」がありました。生の形ではなく、いちど自分の中にくぐらせる。だからこそ、人の心を打つ言葉がつむぎだされたのでしょう。「いつの時代もしっかりと、はっきりものを見る目」をもち、言葉の力を信じて。


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