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2021年12月27日(月)

きょうの潮流

 まるで絵画館のなかを歩くようです。江戸時代後半の個性的な絵師として知られる伊藤若冲(じゃくちゅう)の絵がアーケードの天井からつるされ、シャッターにも▼「京の台所」といわれる錦市場商店街(京都市中京区)です。なぜかと思えば、若冲は錦の青物問屋の生まれ。印象的な鶏のほかダイコン、ナス、カボチャなども描いています▼コロナ禍による緊急事態宣言期間中は人通りがまばらだった同商店街も正月を前に活気が戻り、清水寺、嵐山など京都の観光地も観光客で賑(にぎ)わっています。ただ気になるのは、「第6波」への備えだけではありません▼商店街や飲食店街のところどころで目にする「当面の間休業」「臨時休業」「テナント募集」の張り紙です。大阪も同様です。大阪城公園は訪れる人が増える一方で、公園近くの喫茶店に「誠に勝手ながら」と閉店を知らせる張り紙が。日本一長い商店街といわれる天神橋筋商店街の一角からなじみの寿司(すし)店が消え別の店になっていたのに驚きました▼コロナ関連倒産の統計には反映されない転廃業がかなりの規模で起きていることがうかがえます。「持続化給付金に救われた」という声の一方で「いまだ時短協力金が届かない」「火の車」という悲鳴も▼若冲も絵画三昧(ざんまい)の生活を送っていたわけではありません。奉行所もからんだ青物市場取りつぶしの危機に直面し存続に奔走しました。生家跡の案内板にも紹介されています。苦難に立ち向かう人たちが政治によってつぶされることがあってはなりません。


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