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2021年12月9日(木)

きょうの潮流

 それは恥辱とも汚名とも呼ばれた演説でした。日本軍による真珠湾攻撃をうけ、米国のルーズベルト大統領は国民に訴えました。「将来、この日は恥辱として記憶に刻まれるであろう」▼対日戦の士気が高まるなかで、ルーズベルトはある大統領令に署名しました。日系人を「敵性外国人」とみなし、移住を強いる根拠となった命令です。それによって、およそ12万人が強制収容所におくりこまれました▼報道写真家の米国人女性レジーナ・ブーンさんの祖父もそのひとりでした。長崎で船員となり、10代で渡米。米海軍の基地があった街で食堂を営んでいました。しかし日本の攻撃直後に拘束され、収容所へ。幸せなくらしも、家族も一変しました▼レジーナさんが、これまで消息不明だった祖父の足跡を追うテレビ番組で伝えていました。それによると、その後も祖父は違う街に移され、監視下で働かされていたと。そして、肺結核を患い、終戦から1年後に49歳の若さで亡くなっていました。家族にも知らされず▼突然、生活も自由も奪われ憎悪と差別の対象とされた人びと。あの戦争の傷痕はここにもあり、いまも苦しみはつづいています。開戦80年の式典でバイデン大統領はこう呼びかけました。真珠湾がわれわれの国にとって何を意味したのか、世代をこえて記憶を▼世界中にもたらした悲劇。その犠牲となったファミリーヒストリーを明らかにするため、長崎の親族の元まで訪ねたレジーナさん。「これは私たちみんなの歴史なのです」


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