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2021年11月20日(土)

主張

政府の経済対策

国民に届く支援に切り替えよ

 岸田文雄政権が、新型コロナウイルス感染の長期化を受けた新たな経済対策を閣議決定しました。財政支出が55・7兆円と過去最大規模なのに、医療提供体制の強化や、営業が落ち込んだ事業者と生活困窮者への支援はきわめて不十分です。「新しい資本主義」の名で大企業は手厚く支援します。経済対策は今後編成される2021年度補正予算案と22年度予算案に盛り込まれます。困っている人に届く支援に抜本的に切り替えなければなりません。

給付金の対象広げ拡充を

 経済対策は感染拡大に備えた「病床の確保」を掲げました。しかし、医療現場の人員不足を解決する根本的な対策が見られません。医師、看護師などを確保する具体策を講じなければ「第6波」でまた医療崩壊が起きかねません。

 大幅なコロナ病床の拡充、臨時の医療施設の増設が必要です。保健所の体制も急いで強めなければなりません。医療費削減路線や病床削減政策を転換すべきです。

 暮らしと営業に対する給付金には大きな問題点があります。住民税非課税世帯に10万円を給付するとしています。要件が厳しすぎます。子育て世帯への給付については、世帯合算でなく主な稼ぎ手の収入で線引きすると不公平を引き起こすと指摘されています。

 また、マイナンバーカードの新規取得や健康保険証としての利用登録にマイナポイントを支給することを打ち出しました。給付と引き換えに個人情報を差し出させるなど生活支援ではありません。

 個人向け給付金は、コロナで生活に困っている人を広く対象にして支給すべきです。

 事業者への給付金は、個人事業者向けが持続化給付金の半分の上限50万円です。法人向けも大半が上限100万円と、半分になるとみられます。対象時期は11月から5カ月とする方針で、1月から長期間続いた緊急事態宣言の期間が除かれています。給付額の切り下げや緊急事態宣言の期間を外すことに道理はありません。持続化給付金、家賃支援給付金の第2弾を出すことが強く求められます。

 賃上げ支援については賃金を上げる企業の法人税を減税するとしています。13年度から9年間も実施している施策ですが、その間賃上げは進まず実質賃金は下落し、効果がありません。赤字で法人税を払っていない多くの中小企業に減税の恩恵はありません。中小企業の社会保険料負担の軽減など抜本的な賃上げ支援こそ重要です。

 看護師の賃上げは、コロナ医療に携わる医療機関が対象です。コロナ患者を受け入れていない医療機関も全体としての医療提供体制を支えています。限定する理由はありません。

大企業優遇、軍拡まで

 その一方、経済対策では、先端半導体の国内生産拠点の確保や「ポスト5G」関係の研究開発など大企業の事業を大規模に支援します。これらの事業に携わる大企業は巨額の内部留保を抱えて潤沢な資金を持っています。研究開発にはすでに減税措置があります。大企業優遇より暮らし、営業への支援こそ強めなければなりません。

 「ミサイル防衛能力」など軍事力の強化まで盛り込んだことは、コロナ危機に対応する経済対策の趣旨を逸脱しています。削除すべきです。


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