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2021年11月6日(土)

きょうの潮流

 35年前のこと。琉球諸島の海岸に灰色の軽石が次つぎと漂着しました。当時調査にあたった琉球大の加藤祐三名誉教授は、それが小笠原諸島の海底火山「福徳岡ノ場」から噴出したものとつきとめました▼もともと火山活動が活発で、新島の誕生と消滅をくり返してきた場所。漁船の福徳丸が見つけたことでその名がつけられ、岡ノ場は比較的水深が浅い漁場を意味するといいます▼いままた、大量の軽石が沖縄の海に流れ着いています。「今回はケタ違いの量だ」。長年、海底火山からのメッセージを研究してきた加藤名誉教授が驚きを隠せないほどの。近年で最大規模だという今年8月の福徳岡ノ場の噴火が原因とみられています▼青い海が一転し、灰色に覆われた県内の漁港。被害は深刻です。共産党議員団の調べでも、漁に出られない、収入が断たれたという漁業関係者の声が続々と。ツアーの中止など影響は観光にもひろがっています▼国の支援が求められますが、今後は本州にも軽石の接近が予想され、冷却に海水を使う原発への警戒も呼びかけられています。地上だけでなく、取り囲む海底にも火山が連なる日本列島。しかし、それに対する備えはもろく危うい▼いまもドラマ化されている『日本沈没』を書いた小松左京は、かつてこんな警告を発していました。「日本が地震列島であるという現実と、それに対応する政治的、社会的システムが、いまだに無力であるという状況に変わりはない」。それは、今日も生きつづけています。


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