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2021年10月18日(月)

4つのチェンジで希望ある日本を

(1)新自由主義の転換

ケア労働の待遇改善を

図

 コロナ禍のもと浮き彫りになったのが、介護や保育など国民の命と健康を守る「ケア労働」の待遇の悪さです。「介護職員や保育士の平均給与は全産業平均より『月10万円も低い』など、劣悪な労働条件は長らく放置され、現場は慢性的な人手不足に苦しんで」(日本共産党の新経済提言)います。そこにコロナ禍が直撃。現場の疲弊は深刻さを増しています。(松田大地)


 「今年は例年より5倍の離職者が出ています。みんなベテランのヘルパーで、家族から感染を心配されたりして辞めざるをえなくなったのですが、その補充がまったくできていない状況です。高い専門性と責任が求められるのに、非常勤職員の平均時給はコンビニのバイトと大差ありません。これでは、介護を仕事に選ぶ人は少なくなるばかりだと思う」

離職者が5倍に

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(写真)門脇めぐみさん

 こう語るのは、千葉市などで介護・福祉事業所を運営する千葉勤労者福祉会の門脇めぐみ介護部長です。利用者に必要な介護サービスを維持するため、職員の訪問介護の件数を増やさざるをえない状況だと言います。

 2000年に介護保険制度が始まって以来、自公政権は介護報酬を繰り返し引き下げてきました。多くの事業所は経営難に苦しみ、低賃金の非正規雇用が主流となりました。これが今日の現場の苦境を招いたのは明白です。

 自公政権は、介護も保育も担い手の抜本的増員には背を向け、介護では夜勤の職員配置基準の緩和や施設の定員増、保育では常勤から短時間勤務への置き換えを進めています。職員の負担増・質の低下を招く改悪です。岸田文雄首相は、賃上げに向けた「公的価格」の検討会を新設すると言いますが、やる気があるなら、既存の会議体に屋上屋を架すのではなく、すぐにでも待遇改善すべきです。

 日本共産党は総選挙政策でケアを支える政治に転換し、ケア労働の待遇改善を掲げています。これまでも介護士や保育士は20代~60代まで賃金の上昇がほとんどないと追及してきました。

 自公政権はケア労働を粗末に扱うだけでなく、コロナ禍のもとでも、介護施設での食費・居住費負担を軽減する「補足給付」の改悪・利用者負担増(8月から)や、公的年金額のさらなる引き下げ(4月から)を押し付けてきました。命と暮らしを守る社会保障の拡充こそが必要です。

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(写真)介護施設での食事の様子(千葉勤労者福祉会提供)

生活の困窮深刻

 コロナ禍で収入が減るなど生活が困窮している人たちへの支援強化は喫緊の課題です。

 感染拡大の影響で解雇・雇い止めされた労働者は、厚労省が把握している限りでもすでに11万人超です(7月時点。見込みを含む)。生活苦で生活保護の申請者数が増えているにもかかわらず、「必要な人がすべて利用できる制度」にはなっていません。

 「スナックで働いていたが休業続きだ。貯金とパートでしのいできたが、もう限界。生活保護の相談に行ったら『若いからどうにかなるでしょ』と言われた」(40代女性)、「コロナで仕事が見つからず、夫の年金と親からの仕事で何とか生活している。市役所では『車を持っているから生活保護を利用できない』と言われた」…。

 約40団体による実行委員会が取り組む「コロナ災害を乗り越える・いのちとくらしを守る何でも電話相談会」に寄せられた声の一部です。役所の窓口で保護申請を門前払いする「水際作戦」の一端が見てとれます。自公政権が繰り返してきた生活保護費カットで、「生活保護費月6万7500円。これでは生活できない。コロナでさらに苦しい」という切実な声もあります。

 日本共産党国会議員団の度重なる追及は、政府に「生活保護は国民の権利」と認めさせました。いまこそ生存権保障にふさわしい制度に改革する時です。

 前出の門脇さんは、年金削減で介護サービス利用者の生活も厳しくなる一方だとして、こう述べます。「だれでも年をとるし、だれでも病気になる。その時だれでもライフライン(命綱)をしっかり利用できるようにしないと日本はだめになる。政権交代しかない」

日本共産党総選挙政策の一部抜粋

 ▽介護・福祉・保育職員の賃金を引き上げ、配置基準の見直し、雇用の正規化、長時間労働の是正など、ケア労働の待遇を改善します。

 ▽介護保険料・利用料の減免、保険給付の拡充、特養ホームなど介護施設の増設により、必要な介護が受けられる制度にします。

 ▽マクロ経済スライドを撤廃し、「減らない年金、頼れる年金」を実現します。

 ▽生活保護を「生活保障制度」に改め、必要な人がすべて利用できる制度にします。生活保護費削減を復元し、支給水準を生存権保障にふさわしく引き上げます。


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