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2021年10月18日(月)

主張

総選挙と雇用

働く人を本気で支える政治を

 岸田文雄首相は、「分配」を繰り返し、賃上げに力を入れるかのような主張をしています。しかし、「成長と分配の好循環」のフレーズは安倍晋三元首相のスローガンそのものです。

 アベノミクスは「賃上げ」を目標としていましたが、実際は、安倍・菅義偉政権の9年間で労働者の平均実質賃金は年22万円も減少しました。失敗した政策を「三番煎じ」で続けるのか、それとも政権交代をして抜本的に転換するのか。19日公示の総選挙で問われています。

大企業と富裕層のみ潤う

 労働者の賃金は下がっているのに、大企業は安倍・菅政権の間に内部留保を133兆円増やして、467兆円(2020年度末)に達しています。内部留保は、企業の利益が積み上がったものです。この間の大企業のもうけの大きさの異常さがよくわかります。

 一方、企業のもうけなどにかかる法人税率は、安倍・菅政権下で28%から23・2%に減税されました。アベノミクスの株価のつり上げなどによって大富豪の資産は、6兆円から24兆円へと4倍にもなりました。

 岸田首相がいう“成長がなければ分配ができない”というトリクルダウン(滴り落ちる)理論は、まったくの偽りです。

 2回の消費税率引き上げは家計の重圧になっています。蓄えが滴り落ちるどころか、ますます搾り取られているのが実態です。

 ここから抜け出すには、非正規をはじめとした労働者の家計を「ボトムアップ」(底上げ)で改善していくことです。賃上げで消費を拡大することは、経済の健全な成長にもつながります。岸田首相は、賃金を上げた企業を税制で支援するとのべましたが、これもアベノミクスで効果がなかった政策です。

 コロナ危機で介護・福祉・保育職員の置かれている大変な状況があらわになりました。国が基準を定めているにもかかわらず、賃金は全産業平均より月10万円低いという劣悪さです。慢性的な人手不足です。賃金を国の責任で引き上げ、配置基準の見直し、雇用の正規化、長時間労働の是正など待遇の改善が必要です。

 コロナ危機で仕事や所得が減少し、生活が困窮している人の支援は急務です。日本共産党は、収入が減った家計への支援として、1人10万円を基本に「暮らし応援給付金」を支給することを提案しています。

 最低賃金を中小企業への十分な支援とセットで時給1500円に引き上げ、全国一律制を確立することが不可欠です。

非正規労働者の権利保護

 1990年代以降の労働法制の規制緩和で、非正規雇用への置き換えがすすみました。コロナ危機で、非正規労働者は真っ先に仕事を奪われ、「調整弁」にされました。失業や休業に対するセーフティーネットもきわめて貧弱です。

 働く人の「使い捨て」をなくし、非正規から正社員への流れをつくらなくてはなりません。

 シフト制(交代制)労働者やギグワーカー(1件ごとの請負)の権利保護のルールや、正社員との均等待遇などを定める派遣労働者保護法の制定が求められます。

 総選挙で政権交代を実現し、8時間働けば普通に暮らせる社会をつくっていきましょう。


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