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2021年10月13日(水)

国民へ決意と希望示した提案

政権交代実現し、新しい政治を

志位委員長の代表質問

 12日の衆院本会議で代表質問に立った日本共産党の志位和夫委員長は、岸田文雄首相の政治姿勢の基本を質問し、新型コロナ対策の切り替えを求めるとともに、新しい日本をつくるための「四つのチェンジ」を示して政府の姿勢をただしました。これに対して岸田文雄首相は何ひとつまともに答えられませんでした。志位氏は「総選挙で、政権交代を実現し、新しい政権をつくるために全力をあげる」と決意を表明しました。


命とくらし

新自由主義もう終わりに

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(写真)志位和夫委員長が代表質問に立った衆院本会議=12日、国会内

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 志位氏は、自公政治を終わりにして国民みんなが安心して希望をもって暮らせる新しい日本をつくるための「四つのチェンジ」を提起しました。

 第一は、弱肉強食の新自由主義をやめ、国民の命と暮らしを何よりも大切にする政治へのチェンジです。

 志位氏は、岸田首相が唱える「新しい資本主義」の中身は安倍晋三元首相がくり返してきた「成長と分配の好循環」というスローガンと同じであり、「アベノミクス」の“三番煎じ”だと指摘。「アベノミクス」がもたらしたものは「貧富の格差の劇的な拡大」で、この9年間で大富豪の資産は6兆円から24兆円に膨れあがる一方、働く人の賃金は22万円も減ったとして、「大金持ちがもうかれば庶民に回ってくるという『トリクルダウン』は起こらなかった」と批判しました。

 岸田首相は「(アベノミクスは)経済の成長、体質強化に大きな役割を果たした」とアベノミクスを礼賛し、その継続を明言しました。

 志位氏は「『ボトムアップ』=庶民の暮らしの底上げで経済を良くしていく道への根本的な切り替えが必要だ」と強調。最低賃金1500円、人間らしく働けるルール、学費半減、消費税5%への減税を提案しました。

 また、「1990年代以来の労働法制の規制緩和を根本的にあらため、人間らしく働けるルールをつくるべきだ」と主張。税制について、富裕層と大企業に対する優遇税制を廃止し、法人税を安倍政権以前の28%に戻し、消費税5%に減税すべきだとして、「『新自由主義からの転換』という総理の言葉が本物ならば、どれもこれも当たり前のことばかりだ」と迫りました。

気候危機

「2030戦略」で根本的打開へ

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 第二は、気候危機を打開し、地球を守る政治へのチェンジです。

 志位氏は「世界でも日本でも気候危機は待ったなしの大問題」だと強調。危機感をみんなで共有して緊急に行動しなければ地球の未来はないとして、岸田首相の認識をただしました。

 志位氏は、政府の「2050年カーボンゼロ」に対し、「肝心の30年度までの二酸化炭素の削減目標は10年度比で42%。先進国の50~60%削減という目標に比べてあまりに低すぎる」と批判。30年までの石炭火力ゼロを求めました。

 また、一たび大事故を起こせば最悪の環境破壊を引き起こす原発を、環境を口実に続けることほど愚かな政治はないと批判し、原発ゼロの政治決断を迫りました。岸田首相は「原子力」の追求を選択肢の一つと明言しました。

 志位氏は、党の「気候危機を打開する2030戦略」が、省エネルギーと再生可能エネルギーの普及で30年までに二酸化炭素の最大6割削減を提案したと述べ、「この道を進めば、新たな雇用増や日本経済の持続的な発展につながる」と訴え。同戦略に対する岸田首相の見解を求めました。

 岸田首相は、政府の「温室効果ガス46%削減」目標を「野心的」だなどと述べ、日本共産党の「2030戦略」には言及しませんでした。

ジェンダー平等

異常な賃金格差の是正を

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 第三は、ジェンダー平等の日本へのチェンジです。

 コロナ危機は「ジェンダー不平等・日本」の矛盾を浮き彫りにしました。志位氏は、非正規雇用で多くの女性が失職し「ステイホーム」が強いられるもとでDV(ドメスティックバイオレンス)被害が急増したにもかかわらず、岸田首相の所信表明には言及がなかったとして、「これは一体どういうわけか」とただしました。

 日本の男女賃金格差は世界でも異常です。志位氏は、政府統計をもとに試算すると生涯賃金で1億円近い格差があると指摘し、企業に男女別平均賃金の公表、格差是正計画の策定・公表を義務づけ、「政治の責任で格差を解消すべきだ」と迫りました。

 また、「日本は世界でただ一つ、法律で夫婦同姓を強制している国」だと指摘。選択的夫婦別姓の速やかな実現を求め、「反対の急先鋒(せんぽう)に立つ人物を党の政調会長につけたが、実現する意思があるのか」と迫りました。

 岸田首相は、所信表明でコロナ危機での女性の困難に言及しなかったことについて答弁せず、男女の賃金格差については「情報公開の対象にしていない」と述べるだけ。選択的夫婦別姓については「さらなる検討を進める」と言うだけで、実現に背を向けました。

平和外交

「核抑止」の虚構脱却せよ

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(写真)工事が強行される辺野古・大浦湾=2020年9月3日、沖縄県名護市(小型無人機で撮影)

 第四は「憲法9条を生かした平和外交へのチェンジ」です。

 志位氏は、岸田首相が「核兵器のない世界を目指す」と言いながら核抑止力論に立って核兵器禁止条約を拒否していることを批判。「核抑止」とは、いざという時には核兵器を使用し、広島・長崎のような非人道的惨禍を引き起こすことをためらわない議論だと指摘し、「唯一の戦争被爆国の政府がこんな議論にしがみつくのは恥ずべきことだ」と迫りました。

 岸田首相は「条約には核兵器国が1カ国も参加していない」などとして、参加を拒否。志位氏は「日本共産党は『核抑止』という虚構から抜け出し、核兵器禁止条約に署名・批准することを強く求める」と主張しました。

 さらに志位氏は、辺野古新基地建設について、軟弱地盤の存在によって政府試算でも工期はさらに12年かかり「実際はどれだけかかるか誰にも分からない」と指摘。「『普天間基地の早期返還のため』という政府の言い分は完全に崩壊している。この現実を直視すべきだ」とただしました。岸田首相は、日米同盟の抑止力の維持と普天間基地の危険性の除去には「辺野古移設が唯一の解決策だ」と強弁しました。

 志位氏は「沖縄県民はこの四半世紀、一貫して新基地建設に反対の意思を示し続けてきた。『国民の声を真摯(しんし)に受け止め』るというなら、辺野古新基地建設を中止し、普天間基地の無条件撤去にとりくむべきだ」と主張しました。

 志位氏は最後に、「四つのチェンジを実行するためには政権交代が必要だ。多くの国民や他の野党のみなさんと力を合わせて、総選挙で必ずや政権交代を実現し、新しい政権をつくるために全力をあげる」と表明しました。

コロナ対策

科学重視・医療拡充こそ

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 志位氏は、政府の大失策によって新型コロナの感染爆発、医療崩壊を招き、多くの人々の命が失われたと自公政権の責任を追及。「従来の対応の厳しい反省と切り替えが必要だ」と迫りました。

 第一は、科学を無視した対応を根本から改めることです。

 志位氏は、厚労省が昨年5月「PCR検査を広げると医療崩壊が起こる」という内部文書をばらまいてPCR検査を抑制し、検査戦略を持たずにきたと指摘。東京五輪の開催強行は「科学を無視した政治の最たるものだ」として「多くの犠牲者を出したことへの痛切な反省が必要だ」と迫りました。岸田首相は、東京五輪の感染対策は十分だったとし、「海外から入国した大会関係者等から周囲に感染が広がった事実は確認されていない」と強弁しました。

 志位氏は、「誰でも、何度でも、無料で」PCR検査を受けられるようにするなどワクチン接種と一体に大規模検査体制をつくることこそ「コロナから命を守りながら経済・社会活動を再開する最大のカギだ」と強調しました。

 第二は、40年来の医療と公衆衛生を切り捨ててきた政治を根本から切り替えることです。

 志位氏は、日本共産党が国の予算を2倍にして病床や保健所、医師などの抜本的拡充を図る「医療・公衆衛生 再生プログラム」を提案していることを紹介。医師削減計画を中止して増員に切り替えることや、全国400の公立・公的病院をリストアップした統廃合計画や消費税増税分を財源にした20万人分の入院ベッドを削る計画を中止し、拡充に切り替えるべきだと提案しました。

 岸田首相は「コロナ病床が十分に稼働しなかった」などと医療機関に責任を転嫁。病床の確保を怠り、在宅放置を大量に生んだことへの反省を示しませんでした。

 第三は、コロナで傷ついた事業と暮らしを支援することです。

 志位氏は、第2弾の持続化給付金・家賃支援給付金の支給、コロナで収入が減った人を広く対象に1人10万円を基本とした「暮らし応援給付金」を提案しました。岸田氏は、政府の支援策の結果「失業率は先進国で最低水準にあるなど新型コロナの経済への影響は小さい」などと自画自賛しました。

政治姿勢

森友再調査 背向けるな

 志位氏は、岸田首相が所信表明演説で「国民の声を真摯(しんし)に受け止め、丁寧な対話をしていく」と述べたことに触れ、森友疑惑、日本学術会議の会員任命拒否をただしました。

 志位氏は、森友疑惑で命を絶った元近畿財務局職員・赤木俊夫さんの妻・雅子さんが岸田首相に出した手紙で「正しいことが正しいと言えない社会はおかしい」と真相解明を求めていることを指摘。「再調査をかたくなに拒否する理由は何か」とただしました。

 岸田首相は、結論は出ていると述べ、「必要に応じて説明する」と答えるだけで再調査には背を向けました。

 志位氏は、日本学術会議の梶田隆章会長が談話で、6人の任命拒否の理由が説明されない状態が長期化していることは「科学と政治との信頼醸成と対話を困難にする」と訴えていることを紹介。「この声をどう受け止めるか」と迫りました。ここでも岸田首相は「今後も丁寧な説明を尽くす」というだけで、まともな説明をしませんでした。

 志位氏は「自分にとって都合の悪い声を無視する態度では、『信頼と共感』の政治をつくることは決してできない」と批判しました。


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