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2021年10月6日(水)

主張

岸田首相会見

格差広げた政治に反省がない

 岸田文雄首相は就任後初の記者会見で、新型コロナ感染症対策や経済政策を重点に挙げました。コロナ対策では、科学を無視して感染を広げたこれまでの政治に何の反省も述べません。経済分野では「新しい資本主義の実現」を強調しました。しかし、やろうとしていることの実態は、国民に自己責任を押し付ける新自由主義の継続、推進です。格差と貧困を広げた9年間の「安倍・菅政治」を閣僚や自民党幹部として支えた責任について一言も語らず、新しさを訴えても説得力はありません。

自ら行った政策に触れず

 岸田氏は自民党総裁選で「新自由主義からの転換」「新しい日本型資本主義」を看板に掲げました。大企業がもうかれば国民に滴り落ちるという「トリクルダウン」政策の破綻を無視できなくなったことのあらわれです。しかし、規制緩和、構造改革などの新自由主義的政策が日本経済の「体質強化と成長」をもたらした、とたたえる矛盾した立場です。

 安倍晋三元首相の経済政策、アベノミクスによって経済は成長どころか、長期低迷に陥りました。2013年度以降、各年度の経済成長率はマイナス成長が3回、0~1%台が4回で、2%台は1回だけです。

 14年度と19年度のマイナス成長の原因は消費税増税による消費の落ち込みです。20年度の税収は前年の消費税増税によって増え、消費税は最大の税目になりました。経済が落ち込んでも国民の税負担は増える―このような過酷な税制に日本経済が弱体化した原因があります。

 その一方で法人税率は引き下げの連続でした。自民党政調会長として消費税増税と大企業減税を推進したのが岸田氏です。転換を掲げるのであれば税の不公平を正すべきです。

 雇用分野の規制緩和は低賃金で不安定な非正規雇用を増やしました。コロナ危機では非正規労働者は月平均で92万人減少し、うち58万人が女性です。

 岸田首相は自ら担ってきたこうした政策を今どう考えているかを語らなければなりません。

 総裁選で岸田氏は「1億円の壁」を打破するため「金融所得課税の見直し」を掲げました。年間所得が1億円を超えると所得税の負担率が下がる逆立ちした現象です。富裕層は株式による利益が多く、株の値上がりによる利益への税率が20%と低く抑えられているためです。安倍元政権時代から批判が強かった不公平税制です。しかし、就任会見では「選択肢の一つ」と述べるにとどまりました。

大企業優遇を正してこそ

 岸田氏は6月に「新たな資本主義を創る議員連盟」を立ち上げました。発起人は現自民党幹事長の甘利明氏、最高顧問が安倍元首相と麻生太郎財務相(当時)と前・元政権の中心人物ばかりです。

 財界からは「岸田総理が掲げる『新しい日本型資本主義』は、経団連の『。新成長戦略』と軌を一にする」(十倉雅和経団連会長)とエールが送られました。両氏は早速5日に会談し、「哲学」の一致(十倉会長)を確認しました。

 新自由主義からの転換は大企業優遇の政治を正し、命と暮らしを何よりも大切にする政治に切り替えることです。政権交代の実現が必要です。


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