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2021年10月3日(日)

きょうの潮流

 芸能界や角界には、止め名というものがあります。名人上手や偉業を成し遂げた人に畏敬の念をこめ、後に名を継がせないで止めてしまうことです▼大相撲では二度と使われないしこ名をそう呼びます。現役時代の実績による谷風や雷電、双葉山。一代年寄として認められた大鵬や北の湖、貴乃花らが当てはまります。そこに白鵬の名は入るのか▼史上最多となる45度の優勝をはじめ、数々の金字塔は他の追随を許さないほど。しかも守り続けてきた14年間の横綱在位中は暴力や八百長問題をめぐり大相撲の屋台骨が揺らいでいた時期と重なります。長く独り横綱として看板を背負い、困難なときにも土俵を支えてきました▼それにしては異例の引退でした。横綱審議委員会は実績を口にしつつ、粗暴な取り口や土俵内外の態度をあげ改めて反省を促しました。協会は行動規範の順守を約束させる前例のない誓約書に署名させ、年寄襲名を認めました▼横綱として、勝つことと「品格」を求められ続けた白鵬。たしかに相撲内容や行動には責められても仕方がない点が多々ありました。しかし「国技」とスポーツのはざまで揺れ、周りからはあいまいな品格を押しつけられる。そんな不条理の世界でもがく姿も▼モンゴルから15歳で来日。相撲や日本文化を必死に学び大横綱に。今後は人にやさしく、自分に厳しい力士を育てたいと語ります。誓約書ではなく、土俵を務める力士たちの声をよく聞き生かしていく。それが今の角界には必要ではないか。


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