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2021年9月30日(木)

主張

自民総裁に岸田氏

安倍・菅政治の反省なき継承

 菅義偉首相の退陣表明を受けた自民党の総裁選の結果、岸田文雄前政調会長が、河野太郎規制改革担当相や高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行を破り新総裁に選出されました。岸田氏は、安倍晋三前政権から菅政権までの約9年のうち、7年9カ月にわたり外相や自民党政調会長を歴任しています。長く政権の中枢に身を置いてきた岸田氏に政治の行き詰まりは打開できません。来たる総選挙で政権交代を実現し、新しい政治を開くことがいよいよ急務です。

転換する立場がない

 岸田氏は安倍前政権下で外相を連続4年8カ月も務めました。その間、立憲主義を破壊し、憲法違反の集団的自衛権の行使を可能にした安保法制=「戦争法」制定を推進しました。沖縄・辺野古での米軍新基地建設を「唯一の解決策」と称して、県民の声に逆らい強行する役割も担いました。

 その後3年1カ月は自民党の政調会長として、安倍前政権を支えました。2019年10月の消費税10%増税などの政策に、共同の責任を負っています。昨年のコロナ対策では、対象を一部に限定した「30万円給付」案を打ち出し、野党と国民の反発で撤回に追い込まれた張本人です。コロナ対応の迷走・失政に反省がないままでは、誤りを繰り返すだけです。

 総裁選で岸田氏は、「新自由主義からの転換」をうたった経済政策を掲げました。安倍政権の「アベノミクス」の大枠を維持する方向は変わらず、菅政権の国民に「自助」を押し付ける冷たい政策を改める立場はありません。原発再稼働や核燃料サイクルを推し進める立場も明白です。選択的夫婦別姓などの導入には消極的です。

 安保・外交では、安保法制にもとづく、「台湾有事」での軍事対応を明言しています。被爆地・広島を選挙区にしているにもかかわらず、被爆者の悲願である核兵器禁止条約への署名には背を向け続けています。日本学術会議会員の任命拒否などの憲法違反の政治を改めるとも言いません。

 改憲でも岸田氏は、「改正をしっかりと実現しなければならない」と、総裁任期中を目指すと明言しました。国民世論に逆らう姿勢は、許されません。

 自民党「改革」が岸田氏の売り物です。しかし安倍・菅政権で噴出した国政私物化や強権体質の一掃、「政治とカネ」問題では腰砕けです。河井克行元法相夫妻の大規模買収事件では、自民党本部が提供した1・5億円の巨額資金の調査に自ら取り組もうとしません。「森友」問題も、安倍氏の顔色を見て、再調査を拒否しています。

 岸田氏は総裁選の決選投票で、安倍氏が強力に支援した高市陣営からの支持を得ています。安倍氏への忖度(そんたく)が横行する危険は払しょくできません。

政権交代で日本の未来を

 自民党は岸田新総裁の看板で総選挙に打って出ようとしています。破綻した安倍・菅政治の転換は、自民党内の政権たらい回しでは不可能です。

 総選挙に向けて野党と市民連合は憲法にもとづく政治の回復など共通政策で合意しました。これを土台に、政権交代へ本気の共闘の体制をつくることが重要です。力を合わせて自民・公明の政治を終わらせ、新しい日本をつくろうではありませんか。


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