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2021年9月3日(金)

主張

臨時国会召集拒否

憲法違反の責任放棄許されぬ

 国民の命を守る責任を投げ捨てた憲法違反の暴挙というほかありません。憲法の規定にもとづく野党の臨時国会召集要求に対し、菅義偉政権が、拒否回答しました。コロナ感染拡大で国民が重大な危機にさらされ、医療体制の強化でも暮らしの支援でも、国会で緊急に議論すべき課題は山積しています。国会召集を拒む姿勢に全く道理はありません。一方で、自民党が総裁選は実施しようとしていることに「党利党略優先だ」と批判が上がっています。国民の苦しみに向き合わない政権は終わらせなければなりません。

国民の苦しみ直視せよ

 コロナ感染爆発を引き起こしたのは、菅政権の無為無策の結果です。国民の不安と批判を無視して、東京五輪とパラリンピックを強行したことが、感染者急増に拍車をかけています。コロナを発症しても病院に入院できず、自宅療養中に亡くなるなどの医療崩壊も深刻です。

 菅首相は「明かりが見え始めた」などと根拠のない楽観論を振りまきますが、12日を期限とする緊急事態宣言の延長は避けられないという指摘が相次いでいます。

 深刻さを直視せず、科学的根拠を無視するなど菅政権のコロナ対策の致命的欠陥をただす臨時国会の審議は不可欠です。断続的に委員会の閉会中審査が行われていますが、首相は出席していません。逃げ回ることは許されません。

 臨時国会召集拒否は明白な憲法違反です。憲法53条は、臨時国会について「いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、その召集を決定しなければならない」と定めています。日本共産党と立憲民主党、国民民主党、社民党の4党は7月16日、コロナ対策などを審議するため、衆院議員136人の連名で速やかな臨時国会召集を求めました。その後も繰り返し召集を求めたにもかかわらず、応じなかったのは憲法をないがしろにするものです。

 安倍晋三前政権時にも野党の臨時国会召集要求を無視したことがありました。その違憲性が問われた裁判で、那覇地裁は、憲法53条にもとづく臨時国会の開催要求があった場合、内閣は開催する憲法上の義務を負うと、明確に判断しました。

 野党の臨時国会開催要求に拒否回答した自民党の森山裕国対委員長は、経済対策でも予備費が残っているので補正予算は必要ないなどと述べましたが、国民の暮らしと長引くコロナ禍の中での中小企業の営業悪化などを直視しない態度です。

 臨時国会を開かないとしながら、自民党総裁選や党役員人事に熱中し、政権の延命を図る菅首相の姿は国民不在の極致です。

政治の大本ただそう

 国権の最高機関である国会が今こそその機能を果たすべきです。野党は臨時国会召集を求めるとともに、「合同ヒアリング」などで政府に対策を迫ることにしています。

 コロナに対応できない菅政権を国民が見放しつつあることは、マスメディアの世論調査で、内閣支持率が急落、低迷していることからも明らかです。

 国民に説明する言葉もなく信頼を失った菅・自公政権による政治を大本からただす時です。間近に迫った衆院選挙は政権交代の絶好の機会です。


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