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2021年8月15日(日)

主張

76回目の終戦の日

過去に学び平和守り抜く決意

 きょうは、日本がアジア・太平洋戦争に敗北した1945年8月15日から76年です。日本の侵略戦争が310万人以上の日本国民と、2000万人を超すアジア諸国民の命を奪った痛苦の過去を決して忘れることはできません。

 いま戦後最悪の感染症である新型コロナが猛威を振るい、多くの国民がかけがえのない命の尊さと重みを改めてかみしめる中で、命を守ることを最優先にする政治のあり方も問われています。

「歴史探偵」の重い言葉

 1月に死去した作家の半藤一利さんは、ベストセラー『昭和史』をはじめ近現代史を中心に多くの本を著わし「歴史探偵」として知られます。書店の棚に並んでいる半藤さんの数多くの著書の中に『戦争というもの』があります。最後の原稿となった一冊です。

 「バスに乗り遅れるな」「欲しがりません 勝つまでは」などの言葉をもとに、国家が国民を戦争に駆り立てる怖さを描き、「戦争は国家を、豹変(ひょうへん)させる。歴史を学ぶ意味はそこにある」と語りかけます。「戦争の残虐さ、空(むな)しさに、どんな衝撃を受けたとしても、受けすぎるということはありません。破壊力の無制限の大きさ、非情さについて、いくらでも語りつづけたほうがいい」「戦争によって人間は被害者になるが、同時に傍観者にもなりうるし、加害者になることもある。そこに戦争の恐ろしさがあるのです」。半藤さんの思いを真剣に受け止めなければなりません。

 天皇絶対の専制政治の下、日本軍国主義は1931年9月に中国東北部への侵略を本格化(いわゆる「満州事変」)させ、37年の日中全面戦争への拡大をへて、41年12月のハワイ・真珠湾やマレー半島への奇襲攻撃で対米英戦争に突入しました。15年にわたる戦争は、日本本土を荒廃させ、アジアの国々に甚大な被害をもたらしました。侵略戦争と植民地支配による深い傷痕はいまも残されています。日本政府に対して戦争被害の救済を求め、責任を追及する国内外の声は消えません。

 戦前戦中にかけて国民は真実を知らされず、戦争に異を唱えることは厳しく弾圧されました。「大本営発表」は日本軍の「戦果」を水増しして虚偽の情報を流しました。新聞やラジオも戦争推進一色に染まり、軍部の暴走をあおりました。国民を欺く政治がいかに破滅的結末になるのか―。歴史の教訓を踏まえることが不可欠です。

 昨年辞任した安倍晋三前首相は、過去の戦争を反省せず美化し続けました。菅義偉政権も基本的に同じ立場です。それは終戦記念日前に閣僚が侵略戦争賛美の靖国神社を参拝したことに示されています。歴史を学ばない政権に国政を担う資格はありません。

憲法こそ平和の力に

 菅首相は、自衛隊を憲法9条に明記する自民党の改憲について「しっかり挑戦したい」(『月刊Hanada』9月号)と公言しています。しかし、国民は9条改憲を望んでいません。日本世論調査会の「平和世論調査」(1日付「東京」)では、9条改憲を明確に支持する答えは2割程度にとどまっています。「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにする」(憲法前文)ことを誓った原点を守りいかす政治への転換が必要です。


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