しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年8月3日(火)

きょうの潮流

 大半が盛り土だった現場は、いまも赤茶けた山肌がむき出しになっていました。眼下に相模湾。すぐそばには別荘が立ち並び、野鳥がさえずる閑静な場所です▼熱海・伊豆山で大規模な土石流が起きてから1カ月。22人が命を落とし、いまだ5人が行方不明となっています。きびしい暑さのなか、土砂やがれきを撤去しながらの捜索がつづきます▼この辺りは地盤が固いのに。地元の人は口をそろえます。80年、伊豆山に住み続けているという女性も「いままで大きな地震があっても崩れなかった。なぜ、こんなことが…」。募る不信。これは人災ではないか―▼山腹から深い谷を下って市街地に流れ落ちた大量の土砂。そのほとんどが盛り土の崩壊でした。もともと水が集まりやすい所に持ち込まれたもの。谷を埋めた不動産業者が、行政への届け出よりも面積を広くし、廃棄物をまぜるといった違法行為をしていたことも判明しています▼盛り土や建設残土は以前から全国で問題になってきました。これまで自治体任せにしてきた業者への規制を強め、法律を整え、安全対策を施すのは国の責任です。被害をくり返さないためにも危険箇所の把握や調査が急がれます▼「私らはオリンピックどころではない」。地元で長く営んできたクリーニング店が被災した男性が訴えていました。「コロナに土石流。観光地の熱海全体が二重の打撃に苦しみあえいでいる」。いま、この国のやるべきこととは何なのか。土砂にまみれた現場からの問いかけです。


pageup