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2021年7月13日(火)

主張

宣言発令と菅政権

責任果たさず脅しは許されぬ

 東京都で4回目の緊急事態宣言が発令されました。コロナ対応の大失敗による感染再拡大という深刻な事態を招いたにもかかわらず、菅義偉政権には根本的な反省がありません。それどころか西村康稔経済再生担当相が、休業要請に従わない飲食店に金融機関を通じて圧力をかけさせると発言し、国民の怒りを買っています。政府の無為無策を棚に上げ、国民を脅すなど言語道断です。菅政権の対応には致命的欠陥、責任放棄があります。これを大本からたださなければなりません。

強権姿勢あらわれた発言

 西村担当相の発言は、酒類を提供する飲食店が休業要請に応じない場合、金融機関を通じて応じるよう働きかけるというものです。酒類販売業者に対し、休業要請に応じない飲食店との取引を停止するよう求めるとも述べました。金融機関を通じた「働きかけ」については批判が集中し、一夜で撤回しました。しかし、取り消して済むことではありません。

 融資停止をちらつかせて中小零細業者に圧力をかけるよう銀行に促すことは、優越的地位の乱用を禁じ、公正な取引を定めた法秩序を踏みにじる行為です。販売業者と飲食店の取引に政府が介入する権限もありません。菅政権が発足当初から持っている強権的体質があらわれた発言です。西村氏の閣僚の資格とともに、政権全体の責任が問われます。

 政府の失政について一言もなく、感染拡大の原因を飲食店に押し付ける姿勢は無責任の極みです。休業要請に従わない飲食店などを狙い撃ちにしても、菅政権への不信が強まるだけです。国民の間にも分断を招き、感染対策に逆行することにしかなりません。

 政府がなすべきことは脅しではなく、十分な補償です。

 1日4万円の協力金では足りません。「先渡し」するといいますが、東京都では支給が大幅に遅れています。4回目の緊急事態宣言なのに持続化給付金や家賃支援給付金は1回出しただけです。ただちに第2弾に踏み切り、コロナ収束まで持続的に支給すべきです。生活困窮者への給付金も急務となっています。

 政府がワクチンを安定的に供給できていないことは重大です。多くの自治体でワクチンが不足し、新規予約の受け付け停止を余儀なくされています。職域接種も中止せざるをえなくなっています。ワクチンの安定供給とともに、正確な情報を包み隠さず国民と自治体に伝えるのは当然のことです。

 ワクチン接種は大規模な検査と一体で行ってこそ効果を発揮します。PCR検査の1日あたりの検査数はピーク時からほぼ半減しています。ワクチンの迅速接種と大規模検査をセットで推進する責任を放棄することは許されません。

臨時国会開き議論を

 最良のコロナ対策は東京五輪の中止をただちに決断することです。無観客では問題は何も解決しません。国のすべての力をコロナ収束に集中する時です。

 菅首相は今回、緊急事態宣言を出すにあたっても議院運営委員会への出席を拒みました。国会で質疑に応じ、政府の方針を国民に説明することは行政の長として最低限の責務です。野党が一致して求めている臨時国会を開き、コロナ対策を議論することが必要です。


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