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2021年7月5日(月)

コロナ禍 ジェンダー平等社会へ

紙・岩渕・はたやま氏らと北海道女性支援団体懇談

 コロナ禍で、解雇や雇い止め、DV(配偶者や恋人からの暴力)被害と女性の深刻な状況が強まるもとで、日本共産党の紙智子、岩渕友両参院議員、はたやま和也前衆院議員が“ジェンダー平等の社会実現へ本気でとりくもう”と女性支援団体と懇談しました。(党国会議員団道事務所・小田一郎)


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(写真)「女のスペース・おん」の人たちと懇談する紙氏(左端)ら=6月18日、札幌市

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(写真)訴える(左から)はたやま、紙、岩渕氏ら=6月18日、札幌市

夫の在宅勤務でDV増加

 6月、札幌市では「しんぐるまざあず・ふぉーらむ北海道」の平井照枝代表、「女のスペース・おん」の山崎菊乃代表と近藤恵子理事と、苫小牧市では「ウィメンズ結」の鈴木弥生代表と話し合いました。

 「介護など対人サービスの仕事で複数回、濃厚接触者となり、精神的にまいってしまう母親などコロナ感染症の長期化は深刻です」と平井氏。ひとり親支援団体やジェンダーの専門家・研究者らが4月にまとめた「シングルマザーの就労・生活調査」(全国)をもとに、道内の状況を克明に報告しました。

 「『子どもの靴が買えない』母親、成長する足に合わない靴を履く子どもの姿を思い浮かべると、涙が出てきます」と話します。

 山崎氏は「コロナで夫が在宅勤務し、逃げられない女性がひどい言葉を投げられる相談が増加しています。親から性暴力を受けたなど若い女性向けのシェルターは満室です」と語気を強めました。

 「夫がお金を管理して自由にさせない『経済的DV』が増えています」と鈴木氏。「世帯収入600万円以上なのに、『ひと月3万円でやりくりしろ』と母と子は貧困に置かれている」と告発します。

食料支援 相談の入り口に

 札幌市内の若年女性や性暴力被害者などの支援をしている団体が連携し、「女のスペース・おん」が事務局を担う支援活動「クラウディ」。昨年12月スタートし、月1回実施。毎回30人ずつ増え続け、今では200人が訪れています。「食料品や生活用品が行政や支援者・事業者から届けられていますが、5月は45万円相当になりました。信頼を築き、相談につなぐ入り口になる活動ですから、続けていきます」と近藤氏は意欲を燃やします。

 平井氏は、食料支援を受けたひとり親世帯が、2019年の125世帯(1年間)から20年3月~21年5月期で1900世帯を超えたと説明します。

 「食料支援や子ども食堂で貧困が解決するわけではありませんが、『ここに来てくれてありがとう』との一言から、信頼関係が築かれます。行政には、最初からプライバシーを根掘り葉掘り聞く対応を改めてほしい」と厳しく注文しました。

 「苫小牧では支援に手が届いていない」と話す鈴木氏も、「相談者に『よく来てくれたね。あなたは十分頑張ってきたよ』というメッセージを大事にしている」と語りました。

接種票 無条件で避難先へ

 話題は、多方面に及びました。刑法の性犯罪規定改正について、近藤氏は「同意要件新設と同意年齢の引き上げ、障害のある少女らへの性犯罪(性搾取)が絶えないことを踏まえた法改正が必要です」と提起します。

 「離婚に至らない母子や避難家庭が支援の網から漏れている」という平井氏。児童扶養手当や医療費助成などひとり親を対象とした支援が離婚成立を前提としているからです。鈴木氏も「離婚協議中の場合、『みなしひとり親』として支援対象に」と求めています。

 各団体とも「住民票のある自治体から新型コロナワクチン接種票が発行されています。他自治体に避難しているDV被害者へは配慮が必要です」と訴えました。

 鈴木氏は「人口2000~3000人ほどの町は役場職員を含め、みんな顔見知りです。被害女性は、住民票がある自治体に加害夫が住んでおり、接種票の転送を依頼することはできません」と言います。

 近藤氏は「国が自治体に出したDV被害者のワクチン接種に関する手引きや通知では、『十分配意した対応』というだけで具体的でない。避難先自治体が無条件で接種票を発行できるなど改善し、当事者、支援団体に周知を」と要望しました。

 日本共産党が発表した見解「『離婚後共同親権』の拙速導入ではなく、『親権』そのものを見直す民法改正を」を手渡しました。

 見解が、民法の「親権」の規定を抜本改正し、子どもの権利を実現する親と社会の責任・責務という位置付けを明確にする内容に、「その通りです」と共感が広がりました。

 「子どもの権利をあいまいにした『親権』であってはいけない」と語る平井氏。近藤氏は「面会する、しないの権利があるのは子ども。親にあるのは権利でなく養育の義務です」と賛同しました。

 「そもそも日本は非正規雇用や低賃金と女性が働き続けられる環境にない」(平井氏)など男女格差是正、ジェンダー平等の社会を実現し合いたいと熱心に意見交換しました。

 はたやま氏は「戦前からの世帯主制度、家父長制の家制度の根深さを解決する根本的な議論が必要ですね」。

 紙氏は「大本にある女性の働き方、経済的格差の解決に取り組みます」と表明。岩渕氏は「ジェンダーの当事者や支援者らが声を上げ、前進をかちとってきました。お聞きした課題を国会で取り上げます」と応じました。


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