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2021年6月7日(月)

きょうの潮流

 紫や白、薄紅や黄。川辺に咲き競う、色とりどりの花。茨城潮来のあやめまつりが見ごろをむかえています。昨年はコロナの影響で中止。2年ぶりの開催となった今年は70回の節目です▼江戸時代に利根川水運の中継港として栄えた潮来。明治期に造成されたあやめ園が現在に受け継がれています。戦後、愛好家たちによって始められたまつりには例年、数十万人が訪れます▼約500種100万株といわれるアヤメ科の植栽。いずれアヤメかカキツバタ、とことわざにも例えられるように、どれも美しい。区別は難しいものの、たおやかに咲く姿に心がいやされます▼まつりの名物といえば「嫁入り舟」。かつて交通手段として用いられていた手こぎの小舟に花嫁が乗り、新郎のもとに向かいます。今年は感染対策で中止となりましたが、いまも人気の恒例行事です。「潮来花嫁さん」の歌にもなった風習も、今は昔。2年前には外国人のカップルが初参加。市は性的少数者のカップルの応募も受け入れる方針を示しています▼当たり前のように使われてきた、嫁ということばに違和感を抱く人が増えている昨今。結婚によって女性が夫の家に入り、子どもを産み、家族の世話をする。そんな時代を背にした呼び方は、いまの生き方や性の平等にあわないと▼新しき世をつくる意識の変化。それはどんな呼び方や関係を定着させていくのだろうか。歴史あるまつりの会場で、アヤメの群落と古い時代の名残にふれながら、ふと思いをめぐらせました。


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