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2021年6月5日(土)

高齢者医療費2倍化法案に対する倉林議員の反対討論

参院本会議

 日本共産党の倉林明子議員が4日の参院本会議で行った「高齢者医療費2倍化法案」に対する反対討論(要旨)は次の通りです。


 法案に反対する最大の理由は、75歳以上の高齢者への医療費窓口2割負担の導入です。

 対象者から「心細くてしかたない」「年7万円の医療費が倍になれば受診控えも考えなあかん。ひどいしうち」など、不安と憤りの声が寄せられています。

 政府は、2割負担による受診抑制で医療給付費が1050億円減ると試算しています。高齢者にとって通院や薬を減らすことは病状悪化に直結します。必要な医療が受けられなくなることを前提にした負担増は許されません。2割負担導入は断固撤回すべきです。

 政府は、「現役世代」の保険料負担の軽減を強調します。しかし、現役世代の負担減は1人当たり月約30円です。最も削減されるのは国・自治体の公費1140億円。公的な社会保障費の削減を推進するものです。減らしてきた高齢者医療の国庫負担割合を元に戻すことが急務です。

 厚労大臣は、現役世代の負担軽減策を問われ、安定的な制度にするには「弥縫(びほう)策では難しい」と答えました。2割負担、3割負担の対象拡大を含め、限りない負担増と給付抑制を宣言するものです。

 莫大(ばくだい)な利益を得る大企業や大資産家に負担を求め、全世代の社会保障の大幅拡充に踏み出すことを求めます。

 第2に、国民健康保険の都道府県運営方針に、法定外繰り入れの解消、保険料水準の統一を記載することは、国保料値上げ圧力を法定化するものだからです。

 加入者は、被用者保険より極めて高い保険料負担を強いられてきました。だからこそ“国民皆保険の最後の砦(とりで)”として、自治体は負担軽減策や法定外の繰り入れで、値上げを抑える努力をしてきました。それを国が禁じれば、保険料はさらに高騰し、現役世代を含めた住民の命と健康、くらしを脅かすことは必至です。

 第3に、生活保護利用者が、医療扶助を利用する際、マイナンバーカードによる資格確認を原則とすることです。医療保険におけるオンライン資格確認は任意であり、生活保護利用者にだけ強制し、自己決定を否定することは権利侵害に他なりません。生活保護利用者に対し、新たに差別的な措置を導入することには断固反対です。

 第4に、保険者が求めた場合、事業主に健康診断情報の提供を義務付けることです。機微な個人情報にもかかわらず、本人同意の担保はなく、自己情報のコントロール権が阻害されかねません。

 いまやるべきは、負担軽減、生活への手厚い支援であることを求め、討論とします。


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