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2021年5月7日(金)

主張

国民投票法改定

「安倍・菅改憲」世論で阻もう

 衆院憲法審査会で、改憲のための手続きを定めた国民投票法の改定案が修正のうえ可決されました。自民、公明の両党、日本維新の会の改定案に、立憲民主党が修正で合意し、国民民主党も賛成しました。菅義偉首相は、3日の憲法記念日にあたって改憲派集会へ寄せたビデオメッセージで、国民投票法改定は安倍晋三前首相が提起した改憲を促進する「最初の一歩」と語っていました。国民は改憲を優先課題とは考えていません。「安倍・菅改憲」の加速を阻むことは急務です。

首相が旗を振る異常

 国民投票法は、2007年に第1次安倍晋三政権が成立を強行しました。その後安倍前首相は退陣に追い込まれましたが、政権復帰後の17年に自衛隊を9条に明記するなどの改憲案を示し、改憲策動に拍車をかけました。その中で、自民・公明と維新は18年に国民投票法の改定案を提出しました。在外投票や期日前投票を拡充するなどの内容です。

 もともと改憲のための手続き法は、改憲しようとしなければ改定の必要性もありません。しかも安倍政権が成立を強行した国民投票法は、資金力の有無で広告の量が左右される問題や最低投票率の規定がないなど欠陥だらけです。今回の改定でそうした欠陥は正されません。

 改定案が、これまで採決されなかったのは、多くの国民が改憲を望まず、改憲推進に反対してきたからです。改憲に固執した安倍政権を引き継いで、昨年発足した菅政権は、自民党と国会に異常な改憲シフトを敷き、改憲は自民党の「党是」だといって、明文改憲を主張します。

 菅首相は、改憲派集会へのビデオメッセージで国民投票法改定は「憲法改正議論を進める最初の一歩」と位置づけ、成立を目指すとしたのも執念の強い表れです。首相に求められる憲法尊重擁護の義務も、三権分立の原則も踏みにじって、ひたすら改憲の旗を振る言語道断な態度です。

 菅首相が、安倍前首相が言い出した改憲案に固執し、自民党がたたき台として取りまとめた(「産経」3日付)と明言したことは重大です。憲法に自衛隊を明記すれば、自衛隊が大手を振って、海外の戦争に出動できます。日本を「戦争国家」にする危険なものです。

 首相の固執する改憲を国民が求めていないことは、憲法記念日にあたっての世論調査で、「朝日」では憲法9条を変えない方がよいが61%、共同通信の調査では改憲議論を急ぐ必要はないが54%を占めます。民意無視は許されません。

コロナを口実許されぬ

 菅首相は、コロナの感染拡大を「緊急事態」だとして、緊急事態条項の創設は「重く大切な課題だ」とも発言しています。コロナの感染拡大は菅政権の無為無策が招いたものです。憲法に緊急事態条項がない問題とは無関係です。憲法への「緊急事態条項」の創設は国民の基本的人権を停止する「独裁国家」への道です。

 コロナの感染拡大に便乗して「緊急事態」だからと改憲をせき立てるのは文字通りコロナに便乗した最悪の“火事場泥棒”です。

 国民投票法の改定を機に、危険な改憲のための論議に弾みをつけようという「安倍・菅改憲」を市民と野党の力で阻止しましょう。


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