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2021年4月24日(土)

主張

3度目の緊急事態

補償と検査の強化を今度こそ

 新型コロナウイルスの感染急拡大を受け、菅義偉政権が東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に25日から5月11日まで緊急事態宣言を出すことを決めました。政府がなすべきことをせず、3度目の宣言に至った責任は重大です。休業要請などに伴う損失の全面補償、検査の抜本的強化、すべての医療機関の減収補填(ほてん)など政府がすべきことは明確です。

同じ誤りを繰り返すな

 従来の延長線上の対策では、また宣言の解除と再宣言を繰り返すことになります。菅首相は2度目の緊急事態宣言を解除した3月「再び宣言を出さないため」の五つの対策を打ち出しました。(1)飲食を通じた感染の防止策継続(2)変異株への監視体制強化(3)モニタリング検査(4)安全、迅速なワクチン接種(5)医療提供体制の強化―です。結局ほとんど進んでいません。

 検査については、日本共産党の度重なる提起や自治体の進んだ取り組みに押され、政府はようやく拡大の必要性を言うようになりました。しかし圧倒的に足りません。モニタリング検査は1日二千数百件程度と、政府が目標とする1日1万件に遠く及びません。変異株の検査比率は36%にすぎません。抜本的な拡充が必須です。

 ワクチンの接種は医療従事者でも2回目を終えた割合が2割に届かず、高齢者にはほとんど行き渡っていません。菅政権はこれまでも不確かな情報を振りまき、国民を混乱させました。接種までの具体的行程を示し、不安を解消することは政府の責任です。

 医療体制については、政府が減収補填をしない態度を変えなければ改善されません。地域医療を支える医療機関にはコロナ患者受け入れの有無にかかわらず減収を補填し、支援措置を充実させることが急務です。

 今回の緊急事態宣言に最も大きな打撃をうけるのは飲食を中心とした中小業者です。営業時間短縮などの要請が1年にわたって続き、疲弊は限界を超えています。廃業も増加しています。その上で菅政権は「強い措置を集中的に」と言います。政府が損失補償をしない姿勢を改めなければ、業者が立ち直れなくなってしまいます。

 今回は酒類を提供する飲食店やカラオケ店に休業を要請し、酒を提供しない店にも営業時間の短縮を求めます。今まで以上に過酷な営業制限を4~5月の大型連休も強いられることは死活問題です。

 休業や時短への協力金は事業規模に応じたものにし、すべての損失を国の責任で補償することが必要です。持続化給付金と家賃支援給付金の第2弾の給付、生活困窮者への10万円給付は待ったなしです。雇用調整助成金のコロナ特例も延長が当然です。

 対策を強化するためには予備費だけでは足りません。政府がただちに補正予算案を編成し国会に提出することが求められます。

五輪中止の決断ただちに

 日本と世界の感染状況をみれば今夏の東京五輪開催強行はいよいよ無謀なものになっています。医療従事者の確保という課題一つとっても無理は明らかです。今夏の開催に固執する姿勢が、緊急事態宣言の期間設定をはじめ政府のコロナ対応をゆがめているとすれば重大です。菅政権はただちに中止を決断し、コロナ対策に力を集中すべきです。


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