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2021年3月24日(水)

きょうの潮流

 「広島・長崎原爆のような目に見える外傷もなく、静かな被ばくでした。真っ白な雪のような死の灰を怖いと思わず浴び続けました」▼アメリカがマーシャル諸島ビキニ環礁で強行した「ブラボー核実験」(1954年3月1日)に遭遇した第五福竜丸元乗組員の大石又七さんの証言です。物静かな人でしたが、核廃絶を願って、実験被害の語り部としての執念を感じさせました▼講演するきっかけは、わが子の死産や、漁師仲間が40代・50代で亡くなるのを目のあたりにしての怒りです。公開された日米間の外交文書も読み込み、話は水面下の思惑まで及びました▼「ビキニ事件は核の被害と原水爆禁止運動の原点です。事件を日本人に忘れさせようと、日米両政府による政治の力が働いた。200万ドルの見舞金と原子力技術の供与を引き換えに被災の損害賠償請求権を放棄した。原爆反対をつぶすには『原子力の平和利用』を打ち上げる必要があった。おかげで私たち核実験の被害者は放置されました」▼毎年のように参加したビキニデー集会。「核兵器禁止条約を力に」がテーマの2018年集会は今も目に焼き付いています。同じ被ばくマグロ船元乗組員やマーシャルの島民と登壇し、車いす姿で訴えました▼「アメリカに従って戦争する国にすすんでいる。たくさんの犠牲の上に手に入れた平和憲法を変えるのは許されない」。大石さんの遺志を心に刻んで、たたかい続けたい。憲法が輝く日本と、核兵器も被ばく被害もない世界にむけて―。


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