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2021年3月3日(水)

きょうの潮流

 危険水域が近づきつつあります。中国海警局の武器使用権限を明記した「海警法」の施行から1カ月が経過。2月の沖縄・尖閣諸島周辺での中国公船の領海侵犯は延べ14隻に達し、過去5年間では最悪のペースになりました▼中国国防省は「(尖閣諸島は)中国固有の領土だ。中国公船は自国領海で法執行活動を行っている」と述べ、領海侵犯を正当化。この理屈に沿えば、尖閣諸島周辺で取り締まりを行う海上保安庁に対しても、武器使用が可能になります。恐ろしい話です▼一方、日本側にも懸念すべき動きが出ています。政府は海上保安庁が領海に侵入した船舶に対し、「危害射撃」が可能との見解を示しました。従来と立場は変わらないといいますが、「危害射撃」の要件は、あくまで正当防衛です。相手が撃ってこなくても、領海侵犯だけで武器使用の要件を満たすのか▼尖閣諸島を一方的に自国領域とみなし、武器使用まで可能にする中国の態度に何の道理もありません。沿岸各国に認められた権限を厳密に規定した国連海洋法条約など、国際法に明確に違反します。日本政府は国際社会で堂々とそう主張すればいい▼ところが政府は当初、「国際法違反」と断定することさえ渋っていました。弱腰外交を改めないまま、海保の権限だけを強めればどうなるか▼海警局と海保の背後には、それぞれ中国軍と自衛隊が控えており、何かあれば一気にエスカレートする危険があります。軍事対軍事の悪循環だけは避けなければなりません。


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