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2021年2月16日(火)

きょうの潮流

 余震には大森公式といわれるものがあります。本震後の時間の経過に伴い、余震の回数も減っていくことを表した数式です。日本の地震学の創始者、大森房吉が1894年に発表しました▼ゆっくりと減衰していく余震活動。しかし巨大地震後のように長引くこともあり、1891年に起きた濃尾地震の余震は1世紀以上たった今も続いています。それは被災者をさらに苦しめ、再建への意欲をそぎます▼東日本大震災から10年を前に、最大震度6強の余震が起きました。いまだ復興への道半ばにある各地の被害がいっそう痛々しい。大きな揺れに恐怖がよみがえり、津波におびえた人びと。なかには教訓を生かし、声を掛け合い素早く避難する姿もあったといいます▼余震が減ってもこうした地震はいつでも起こりうると専門家は指摘します。国の地震調査委員会も、東日本の太平洋沖では今後も長期間にわたり規模の大きな地震が発生し、津波に襲われる可能性があると注意を呼びかけています▼何かをきっかけに今もうずく心の傷。被災者の多くが口にする消えない痛みです。岩手県の達増(たっそ)拓也知事も志位委員長との会談で心のケアの引き続く支援を訴えました▼「ゴールに向けて一気に終わらせようという感覚ではなく、末永く寄り添って、どこまでも一緒に歩んでいく姿勢を国に求めたい」。余震は心身の「うずき」にも例えられます。時間をかけながらていねいに傷口をふさいでいく。かたちや数式では表すことのできない心の復興です。


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