しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2021年2月13日(土)

きょうの潮流

 己の立場を知れ―。英語ではこんな意味合いを含んだ言葉だそうです。歴史的にも差別として認識されてきた表現であると。東京五輪・パラリンピック大会の長として森喜朗会長が口にした「わきまえる」です▼日本の辞書には「物事の道理をよく知っている」。また、自分が置かれている立場から「すべき事とすべきでない事とのけじめを心得る」との解釈も。彼の発言にちなんだ「わきまえない女たち」は抗議活動のキーワードにもなりました▼批判の声はひろがり、森会長の処遇の検討や再発防止、女性理事の割合を増やすことを求めたネット署名は目標の15万人に達する勢いです。世論はうねり、いまだに性差別が色濃い日本の組織や社会のあり方を問うまでに▼遅きに失した、きのうの辞任表明。余計なことをいった、解釈のちがい、意図的な報道…。長々としゃべった森氏から出てきたのは自身の功績と、問題の本質を理解しようともしないぐちばかり。それなのに、組織委の理事らが集う場からは拍手も▼周りが騒ぐからと反省のない謝罪や撤回、その暴言を擁護し、沈黙する周りの人間。日本社会にひそみ、くり返し現れる「わきまえろ」の偏見や圧力。それはスポーツに限らず、とくに政権のごう慢な姿勢に際立ちます▼権力者が沈黙を強いられる女性をはじめとする、さまざまな異論に耳を傾けず、排除をつづけてきた息苦しい世の中。しかしいま、それに屈しない声が大きな流れとなり、組織や社会を変える力になっています。


pageup