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2021年2月10日(水)

きょうの潮流

 送られてきたメールにも心は動きませんでした。スポーツが好きで、平和の祭典というオリンピックの精神に共感。支える側の一員になれることにやりがいや喜びを感じていたのに▼ボランティアとして東京五輪にかかわるはずだった都内の女性が複雑な胸中を語っていました。すでに説明会や研修をうけて役割も決定。しかしこのコロナ禍で開催自体も、自身の気持ちも揺れていました。そこにきて大会組織のトップに座る人物が性差別をあらわに▼組織委からのおわびメールにも、その女性は「周りに受け入れられない大会に失望し、やる気もうせた」と。女性を蔑視する森会長の発言以来、8日昼までに400人近いボランティアが辞退。多くが同じ思いを抱いての決断だったのではないか▼「多様性と調和」を掲げる大会理念に反した暴言は、ボランティアへの裏切りともいえます。ところが、自民党の二階幹事長は相次ぐ辞退を「瞬間的」とし、落ち着けば考えも変わる―。まるで辞めていく側に問題があるかのような認識です▼民意からかけ離れていく東京五輪。国内外にひろがる森会長辞任の声に、かばう組織委やスポーツ界、そして菅政権。中止や延期の圧倒的な世論に対しても、科学ではなく精神論で開催を強行しようとするズレた感覚です▼五輪のように大勢のボランティアを募る組織は、その目的やあるべき姿をつねに具体化することが求められているはずです。国民や支える人たちにさえも愛想が尽かれた大会の行く末は…。


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