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2020年12月7日(月)

帰ってきた玉手箱

6年の旅 はやぶさ2カプセル回収

 小惑星探査機はやぶさ2が放出した着陸カプセルは6日未明、大気圏に突入し、オーストラリア上空で火球として観測されました。待機していたカプセル回収班が着地点に向かい、午前7時32分、回収作業を完了しました。初代はやぶさに続き、はやぶさ2は小惑星の物質を地球に持ち帰る快挙を達成。総航行距離52・4億キロメートル、6年間にわたる探査を完遂しました。


 宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、カプセルは秒速約12キロメートルで大気圏に突入しました。日本時間6日午前2時29分、激しく発光しながら降下するカプセルが数十秒間、オーストラリアの砂漠地帯の上に広がる星空を横切る様子が地上から観測されました。

 カプセルは高度10キロメートルでパラシュートを展開。位置情報を示す電波信号を出しながら降下し、同54分ごろ着地したもようです。

 現地では電波信号を手掛かりに着地点を推定し、ヘリコプターが探索に直行。4時47分に上空からカプセルを発見しました。夜が明けた後、着地点で回収作業を行い、現地本部に搬入しました。カプセルは、ガス成分を現地で採取した後、日本に空輸され、早ければ8日にも到着する予定。

 小惑星物質を分析すれば、太陽系の成り立ちや生命の起源を解明するヒントが得られると期待されています。

 探査チーム責任者の津田雄一教授は記者会見で「ただいま、帰ってきました。今朝、玉手箱を舞い下ろすことができた。中を開けることが楽しみです」と述べるとともに「惑星間往復飛行の扉を(初代)はやぶさが開いたが、はやぶさ2はその扉をくぐり抜けた」と意義を強調しました。

 探査機本体は5日夕方に地球圏離脱のためのエンジン噴射を実施した後、地球の上空約350キロメートルをかすめるように通過。地球から遠ざかりながら、新たな小惑星の探査に向かっています。

はやぶさ2の軌跡

 2014年12月にJAXA種子島宇宙センターから打ち上げられ、18年6月に小惑星リュウグウに到着しました。近傍からの詳細な観測、日本の小型探査ロボットや欧州の小型着陸機の投下、着陸・試料採取、人工クレーターをつくる衝突実験など、困難なミッションを次々と成し遂げました。到着してみるとゴツゴツした岩石が至る所に見え、想定していた探査機操縦の精度では着陸できないことが判明。探査チームは操縦の腕を磨きながら戦略を練り直し、着陸精度を上げて2回の着陸に成功。小惑星表面の物質に加え、衝突実験で放出された地下の物質の採取にも挑みました。19年11月にリュウグウを出発し、今月5日に着陸カプセルを放出しました。


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