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2020年10月3日(土)

きょうの潮流

 もう少し辛抱すればマッチ箱一つで大都市がふきとぶ新型兵器ができる―。戦況の悪化につれ、こんなうわさが日本国民の間に広まったといいます▼あらゆる便宜を与えて研究に専念させ、成果をあげよ。軍から威圧やどう喝をうけながら、悪魔の兵器に手を染める葛藤…。日本における原爆の開発に携わった科学者たちの姿はドラマ「太陽の子」にも描かれました▼芸術や文化、学問。すべてのことが「お国のため」に収れんされていった暗黒の時代。その強い反省から戦後は始まりました。1949年に発足した日本学術会議も、権力から独立した自主・民主の組織として再出発しました▼「われわれは、文化国家の建設者として、世界平和の使として、再び戦争の惨禍が到来せざるよう切望するとともに、科学者としての節操を守るためにも、戦争を目的とする科学の研究には、今後絶対に従わない」。存立の決意は安倍政権が推進した「軍学共同」を拒む礎にもなりました▼学者の国会といわれる、この組織の人事に権力が露骨に介入しました。学術会議が推薦した会員候補6人の任命を菅首相が異例の拒否。いずれの教授も安保法制や共謀罪をはじめ、戦争できる国づくりに反対していました▼憲法に定められた学問の自由は社会の健全な発展に欠かせません。理由もなく拒否された教授はこう危ぐします。「聞きたい意見しか聞かない、こうなってしまえば、今後の日本にとって大きな禍根を残す」。それは痛苦の歴史が証明しています。


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