しんぶん赤旗

お問い合わせ

日本共産党

赤旗電子版の購読はこちら 赤旗電子版の購読はこちら
このエントリーをはてなブックマークに追加

2020年9月13日(日)

感染落ち着いていない 再燃の恐れ

GoTo東京解除 専門家慎重

 政府は、観光支援事業「Go To トラベル」キャンペーンの対象に、除外していた東京都発着分を10月1日から追加する方針を前のめりで打ち出しました。新型コロナウイルスの新規陽性者数が減少傾向にあるというのが理由ですが、政府に感染症対策を提言する専門家からは「まだ完全に落ち着いていない」など、慎重な判断を求める意見が相次ぎました。

 「基本的に10月1日で(分科会構成メンバーの専門家から)了解をいただいたと思っている」。11日夕に開かれた政府の感染症対策分科会の終了後、会見した西村康稔経済再生担当相は強調しました。

 しかし、同席した分科会の尾身茂会長は、「Go To」に関する分科会の提言で「あえて(東京除外を解除する)日にちを書いていない」と指摘。提言は、都道府県ごとの感染状況判断のために分類した四つの段階のうち、感染がそれほど広がっていないステージ1、2相当まで感染レベルが下がっていることを条件にすべきだと求めています。

 日程を言及していないことについて尾身氏は「東京は新規陽性者数も徐々に落ちてはいるが、感染者の病床使用率などの指標でステージ3(感染急増段階)にあるところもある。まだ完全に落ち着いたところにいっていない。常に再燃の可能性があるというのが分科会の判断だ」とのべました。

 その上で、条件を満たさず解除を進め、感染が再び拡大してしまう事態についても言及。「これだけ多く国民の税金を投入しているだけに、『Go To トラベル』事業そのものが国民の信頼を失ってしまうのではないか」と語りました。

 分科会後、記者団の囲み取材に応じた釜萢(かまやち)敏・日本医師会常任理事も、観光庁が東京除外を見直す理由について分科会で説明した内容に疑問を呈しました。「7月に『Go To』を始めた段階では、10万人当たりの感染者数は東京が突出していたが、現状は東京が少し下がった一方、全国の道府県が上がった。差がなくなったから東京を追加してもいいじゃないかというので、それはおかしいでしょうと」

 「Go To」は、14日投票の自民党総裁選で最有力候補とされる菅義偉官房長官がすすめた事業とされています。菅氏は11日の会見で、事業が感染拡大につながったとする声を念頭に「(Go Toを利用した中で)判明している感染者は7人にとどまっている」と“反論”しました。

 釜萢氏は「分科会で7人しか報告されていないとありましたが、その根拠は本当にそれで正しいのかと私からも言いました。観光庁に報告があったものだけなので、情報は正確に出さないと、のちの分析はできないという意見が出た」と話しました。(岡素晴)


pageup