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2020年6月8日(月)

主張

給付金の委託費

政府は疑惑に誠実にこたえよ

 新型コロナウイルスの感染拡大で休業を余儀なくされた中小業者・個人事業主に支給される持続化給付金をめぐり、政府の事務事業のあり方が大問題になっています。広告業界最大手の電通などが設立した一般社団法人サービスデザイン推進協議会が国から委託を受け、協議会は電通に再委託し、さらに電通は子会社5社に外注し、巨額の差額を手にしていました。事業を“丸投げ”し、税金を分け合う構図です。疑惑の徹底究明が不可欠です。政府は国民にきちんと説明しなければなりません。

大企業が事業を食い物に

 コロナ対策関連の事業では、消費を喚起するという触れ込みの「Go To キャンペーン事業」をめぐっても、事務委託費の上限を事業費の2割にも上る3095億円も見積もるなど、事業の不透明さが問題になり、政府は委託先の公募をいったん中止することを発表しました。

 持続化給付金をめぐる疑惑は▽経済産業省がサービスデザイン推進協議会に769億円で委託▽同協議会は749億円で電通に再委託▽電通は子会社に外注に出すとともに、さらにその一部は、かつて経済再生担当相を務めた竹中平蔵氏が会長を務める人材派遣会社パソナや大日本印刷、IT業のトランスコスモスなどに外注▽同協議会はまた、みずほ銀行に給付金の振込手数料を支払うなどしていました。電通やその子会社、パソナはいずれも協議会を構成する企業です。コロナ対策予算を身内で食い物にするようなことは許されません。

 新型コロナの感染拡大に対応した休業要請による収入の落ち込みを補てんするために設けられた持続化給付金は、全国で申請された150万件のうち100万件が支給されていますが、申請には収入が落ち込んでいることを証明する書類や銀行口座などの届け出が必要で、スピードの遅さが問題になっています。その上、窓口になる協議会が疑惑にまみれているというのは大問題です。

 野党が国会で、同協議会が持続化給付金事業を受託することになった経緯を明らかにするよう迫っても政府は明らかにしません。電通への再委託は、丸ごと再委託することを禁じた経産省のガイドラインに違反しているのではないかと追及しても、梶山弘志経産相らは明確に説明しません。さらに、電通など協議会の構成企業が自民党に献金していたことが明らかになりました。同協議会をめぐっては、設立されてから4年余り、決算を公表していなかったことも判明しています。

 野党は、持続化給付金の支給事業は同協議会に委託しなくても、全国の商工会議所のネットワークなどを使えば実施できたのではないかとも指摘してきました。安倍政権や所管の経産省は、疑惑に誠実に答えるべきです。

国会審議で徹底究明せよ

 持続化給付金事業の予算は、今週から審議が始まる予定の2020年度第2次補正予算案で1兆9400億円に増額されます。

 必要な予算を準備するのは当然ですが、コロナ禍の中で中小業者・個人事業主の命の綱ともいえる給付金事業の予算を一部の大企業が分け合うなど決して許されません。国会審議で徹底的に究明すべきです。


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