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2020年5月15日(金)

きょうの潮流

 日本の最南端にある有人島、波照間(はてるま)島。「果ての珊瑚(さんご)の島」という意味をもつ美しい小島には、悲劇の歴史が隠されています。もう一つの沖縄戦と呼ばれる「戦争マラリア」です▼当時、日本軍の命令で強制移住させられた住民たち。そこはマラリアがまん延する西表(いりおもて)島のジャングルでした。感染症によって人口の3分の1が病死。強制移住は八重山諸島の各地で起き、3600人をこえる犠牲者を出しました▼「民よりも国体を優先した沖縄戦当時の国家システムは、現在も地下水脈のように脈々と続いているように思えてならない」。映画「沖縄スパイ戦史」の共同監督、大矢英代(はなよ)さんは著書『沖縄「戦争マラリア」』にそう記しています▼米軍や自衛隊の既存の基地に加え、辺野古や高江の新基地建設、島しょ部のミサイル部隊やレーダー配備。琉球列島の全体がますます軍事化され、同じ過ちをくり返そうとしているからこそ、歴史から学ばなければならないと▼きょうは沖縄が日本に返還された日。復帰から48年、感染症のさなかの県議選は命とくらしを守るたたかいになっています。こんなときに巨額を米軍につぎ込むのか、それを県民のために使うのか。対決点は鮮明です▼米軍嘉手納基地ではコロナの感染者が出ましたが、詳細は非公開で国内法も適用されず。周辺の自治体からは、これでは住民を守れないとの声が。今も沖縄に絡みつく戦争という災厄。しかし、どんな苦難にもあきらめない県民の姿もまた。平和をかちとるまで。


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