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2020年4月25日(土)

業者「今月乗り切れない」

固定費補償 急いで

 4月も月末を迎え、新型コロナウイルスの感染拡大と自粛要請の影響で売り上げが激減している中小業者から「今月の家賃や従業員の賃金が工面できず、このままでは乗り切れない」と悲鳴があがっています。(青柳克郎)


 「3、4月は売り上げゼロ。正社員を1人雇っており、その給料や家賃など約50万円を月内に払わなくてはいけません。先月の支払いで運転資金は尽きました」

 東京都江東区で、夫(72)とともに宴会向けの料理仕出し業を営む女性(62)が苦渋の表情で語ります。創業36年。学校関係者や企業、町内会など常連客は多く、春は歓送迎会で忙しい時期ですが、今年は大半が中止に。500万円の売り上げを失いました。

 廃業も考えますが、店内の原状回復や業務用機器の処分に多額の費用がかかり、踏み切れません。公的融資や雇用調整助成金を利用して店を維持しようとしていますが、手続きに時間がかかります。

 「国は自粛を求めるのなら、打撃を受ける業者へ、家賃などの固定費補助や損失補償を急いでほしい。私たちは生きるか死ぬかの瀬戸際に立たされているんです」

補償求める動き

 日本共産党は、自粛要請で休業を余儀なくされた事業者の家賃など固定費について、国が全額補償することを主張しています。各地で休業補償を求める動きが起きています。

 江東民主商工会(豊田文男会長)は24日、区に対し、家賃などの固定費への補助を求める要望書を提出しました。家賃を払えない業者が立ち退きを求められ行き場を失っているなどの実態を紹介。対策を訴えました。

 豊田会長がいいます。「コロナ収束後に街から人や店が消えていたのでは、地域経済は成り立ちません。いまこそ行政の支援が必要です。この局面を乗り越えれば、また元気に商売をし、税金も納められるのですから」

家賃支払い猶予も来月は一層苦しく

 「今月の家賃やパートの給料といった支払いが35万円ほどあります。これを払ったら、店の運転資金は底をついてしまう」

 そう話すのは、大阪市天王寺区のターミナル駅前で日本料理店を営む男性(55)。大家と交渉し、家賃支払いは1カ月間猶予になりましたが「来月の支払いが一層苦しくなる」と表情は複雑です。

 4月の売り上げは昨年同月の3分の1。消費税増税の影響で売り上げが落ち込み、運転資金が細っているところにコロナ禍が来ました。

 常連客の要望で営業を続けていますが、酒類の提供は19時までに制限され、売り上げは伸びません。仕入れ費用も限られるため、タコとイカの盛り合わせはどちらか片方にしたり、鮮魚ではなく干物を仕入れたりするなど、工夫しながら日々を乗り越えています。

 公的機関の融資を検討していますが、申請が殺到しており、いつ受けられるかめどが立ちません。

 男性も訴えます。「コロナによる不況が深刻化するなか、この店がつぶれたら、私の働き場所は容易には見つからない。国は、固定費補助や損失補償を大至急してほしい。そして、コロナ収束後、またお客さんを元気に呼び込みたい」


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