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2020年4月1日(水)

きょうの潮流

 「やりたくてもやりようがない」。電話の向こうで舞台俳優・嵐圭史さんが無念の思いを語ります。新型コロナウイルス対策に伴う公演中止、延期で「玄朴と長英」(真山青果作)の春の地方公演が20ステージ中止に▼前進座を離れて初めての舞台でした。オペラ歌手の池田直樹さんとの二人芝居。幕末の2人の医師の対決を通し、伝えたかったメッセージは宙に浮いたままです。損害も1600万から1700万円の見込み。「われわれ零細はどうやって生きていこうかという問題です」▼先日の安倍晋三首相の記者会見は、そんな文化人の声にこたえていたでしょうか。会見で「困難にあっても、文化の灯は絶対に絶やしてはなりません」と力強く述べた安倍首相。しかし、続く一問一答では「税金で(自粛による損失を)補塡(ほてん)するということはなかなか難しい」と直接支援を否定しました▼このチグハグさは何なのか。なぜ、ドイツの文化相のように「皆さんを見殺しにするようなことはいたしません」と言えないのか。これでは、どんなに政府に窮状を訴えても向き合ってもらえない、と絶望の淵に追いやるだけでしょう▼ついに若手の演劇人も立ち上がりました。今まで運動というものには縁のなかった人たち。「補償があれば公演中止の決断ができる」「倒産や自己破産が出るのは必至」「やめたくてもやめられない」▼ネット上で「#自粛と給付はセットだろ」がトレンドに。感染爆発を本気で防ぐのなら真っ先にやるべきことです。


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