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2020年3月2日(月)

NHK日曜討論 小池書記局長の発言

 日本共産党の小池晃書記局長は1日のNHK「日曜討論」で、新型コロナウイルス対策や今週から始まる参院での2020年度予算案の審議について各党の参院代表と議論しました。


新型コロナ 政府の対応

 小池氏はまず、全国一律の小中高校、特別支援学校への休校要請に関する安倍晋三首相の記者会見(2月29日)について「国民が一番聞きたいと思っていた、なぜ感染が広がっていない地域まで含めて全国一律の休校なのか、科学的な根拠が全く示されなかった」と指摘。国の支援策の具体的な規模や内容がなかったことにも疑問を呈し、「いま必要なのは言葉だけの決意ではない。財源を伴う具体的な医療体制、検査体制、休業補償などであり、裏付けをもった政策だ」と述べました。

 一律休校についても、「合理的な説明がなく、専門家会議にも諮っていない。政府の専門家会議のメンバーにも、一律休校は必要ないと言っている方がいる」と指摘。「現場では、仕事を休めない親たちは途方に暮れている。フリーランスは雇用調整助成金の対象外だ。医療現場で出勤できなくなって診療が止まる事態も起きるだろう。いつ、どういう状況になれば解除するかもみえない」と批判し、「一律の休校は撤回して、各自治体の判断に委ね、国は自治体の対応を財政的に支援するべきだ」と述べました。

 自民党の世耕弘成参院幹事長は「子どもが媒介となり地域に感染を広げるリスクがある」と安倍首相の判断を支持。公明党の西田実仁参院会長も「子ども集団感染を防ぐ意味で、ぎりぎりの決断だった」と評価しつつ「一律休校に伴う課題への対応もセットで公表するほうが混乱は少ない」と述べました。

 これに対し、立憲民主党の長浜博行参院議員会長は「会見には違和感をもった。さみだれ式の対策だ」と疑問視。国民民主党の大塚耕平参院会長は「中国ですら全土にわたる措置はとっていない。さらに説明を求めたい」と述べました。

 日本維新の会の片山虎之助共同代表も一律休校に疑問を呈し、「地方自治体に選ばせる方がいい」と述べました。

 新型コロナウイルスの検査・医療体制をめぐっても、野党から批判や疑問の声が相次ぎ、自民・世耕氏は、「医師が必要と認めた人、重症になるかもしれない人を優先する」と釈明しました。

 小池氏は「医師が必要と判断しても行政機関が検査を受けてくれないと日本医師会も言っている。(ウイルスを検出する)PCR検査を保険適用するというが、検査は『帰国者・接触者外来』に限り、どこの医療機関でもできるわけでない。現場の医師が必要だと判断したら検査ができる体制にするべきだ」と求めました。

 さらに、感染拡大の阻止には「医療体制がカギを握る」と述べ、安倍首相が表明した「5000床確保」には具体策も裏付けもないと批判。医療機関ではマスクやガウンなどが不足し、「医療が提供できない。職員の安全が守れない」と悲鳴が上がっているとも述べ、「具体的な手だてを、財源も含めて示すべきだ」と力を込めました。

感染拡大の経済への影響

 新型コロナウイルスの感染拡大の経済への影響も議論となりました。

 小池氏は、1月の有効求人倍率が急落し、昨年10~12月期の国内総生産(GDP)が年率換算でマイナス6・3%だったことを挙げ、「新型コロナウイルス以前から日本経済は大変な事態になっている。原因は昨年10月の消費税10%への増税だ。家計消費と日本経済に深刻な打撃になり、そこに新型コロナウイルスの広がりによる世界経済の大不況が加わってくる。本当に深刻な状況だ」と指摘。「増税が景気悪化の引き金を引いたのだから、消費税を緊急に5%に減税し、暮らし応援の政治に切り替えるべきだ」と強く訴えました。

 また、中小企業支援について「5000億円の資金繰り支援では全く足りない。1998年の金融危機の時には30兆円だった。規模を大幅に拡大し、金利をゼロにするなど思い切った手だてをとるべきだ。庶民の懐を温め、中小企業を応援することなしに日本経済の再生はない」と述べました。

 国民・大塚氏は、影響はリーマン・ショックや東日本大震災より大きくなるとの見方を示し、「カナダや英国はリーマン・ショック時に付加価値税(日本の消費税に相当)を減税している」と指摘しました。

参院委での予算案審議

 最後に、週明けから始まる参院予算委員会での予算案審議が議論となりました。自民・世耕氏は「この場でも野党から傾聴に値する意見をたくさんいただいた」と述べつつ、国会でも「建設的な議論をやりたい」と繰り返し、予算案の早期通過を求めました。

 小池氏は「『建設的な議論を』『予算を通せ』というが、来年度予算案には新型コロナウイルス対策費が1円も入っていない。野党は予算の組み替え動議という建設的な提案をしたが、与党は耳も貸さずに否決した」と批判。「国会が政府の対策を検証し、責任ある対応をするために、参院で専門家の意見をよく聞いて議論する場をつくろう」と呼びかけました。

 小池氏は、検察官の定年延長は問題ないと開き直る自民・世耕氏に対し、「『桜を見る会』では今国会でも新たな疑惑が次々に浮上している。検察官の定年延長は法治国家の根底を揺るがす問題だ」と指摘。「総理の言動を忖度(そんたく)して取り繕い、虚偽答弁を重ねる政府が、新型コロナウイルスの問題で大事なことを言っても国民は信じられない。政治に対する国民の信頼を取り戻す議論を徹底的にやりたい」と語りました。


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