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2020年2月28日(金)

きょうの潮流

 夏目漱石の小説「こころ」や中島敦の名作「山月記」が教科書から消える? そんなことが、いま話題になっています。「定番」とされてきた文学教材が教科書からなくなる可能性があるというのです▼2022年度から実施される高校の新しい学習指導要領。必修科目の一つ「現代の国語」では読む教材が「現代の社会生活に必要とされる論理的な文章および実用的な文章」に限られています▼選択科目で多くの高校生が選ぶことが予想されている「論理国語」でも、同様に「実用的な文章」が重要視されています。文学教材が大幅に減らされ、小説などをじっくり読む機会がなくなってしまうのではないかとの危惧が幅広い人たちから出ています▼新しい指導要領の先取りが始まっています。センター試験をやめ来年度から実施が計画されている「大学入学共通テスト」です。国語の試行テストなどで駐車場の契約書や生徒会規約など「実用的」な文章が登場しました▼契約書などをしっかり読めるようにすること自体は必要です。学校教育でそうした力をつけることも大切でしょう。でも「実用的」なことだけでいいのでしょうか。大学入試で出題する必要があるのかも疑問です▼文学作品にふれることは、読む力はもちろん、物の見方や考える力を育む上でも重要です。「実用的」だとして教育の中身が貧弱にされているのではないでしょうか。生徒会規約を読むことを重視するなら、何よりもまず、実際の生徒会活動を充実させることです。


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