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2020年2月22日(土)

汚染区域 出入り簡単

クルーズ救護派遣スタッフ 当時語る

政府説明 事実と違う

 新型コロナウイルスの感染が広がったクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」で21日、乗客が引き続き下船しました。政府は「感染拡大防止に徹底して取り組んでいる」と力説しますが感染者が続出しています。対策は本当に大丈夫だったのか…。今月、船内で救護活動に従事した医療機関スタッフのAさんに話を聞くことができました。(遠藤寿人)


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(写真)クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の展望デッキから両手を振る乗客=19日、横浜市鶴見区

 この問題に一石を投じたのは、18日に船内に入った、神戸大学感染症内科の岩田健太郎教授のユーチューブへの動画投稿です。岩田氏は、船内は汚染区域(レッドゾーン)と非汚染区域(グリーンゾーン)の区別がなく、「クルーズ船内は悲惨な状態」だったと告発。加藤勝信厚労相は20日、衆院予算委員会で「区域管理もしっかり行われている」としました。

 Aさんは「私がいた当時のことだが、岩田先生の発信内容は的確で事実に近い。汚染区域と非汚染区域の区別が管理されていないことを、懸念している医療従事者もいる。感染症の専門医でなくとも実感がある。厚労相の答弁は事実と違うと思う」といいます。

 Aさんは橋本岳厚労副大臣がツイッターに投稿した画像でも話題になった、5階の対策本部にも出入りをしていました。4階にはメディカルセンター(医務室)があり、廊下右手にある5階への階段を上ると、5階にはダイニングホールが二つあります。その上階には客室のフロアがあります。

 Aさんはメディカルセンターについて「検査で陽性反応が出ている患者も、検査結果を待っている患者も一緒に診察を受けているにもかかわらず、そこの出入りは何の防護も施されていない。職員が簡単に出入りできた」といいます。

 5階は対策本部があり、厚労省のスタッフや自衛隊、検疫官らが活動していましたが、「乗員などありとあらゆる人がノーチェックで出入りできる状態。安全とはいいがたい」。客室に問診に行くときは、微粒子を遮断できる医療用マスクやゴーグルなど感染対策を施して向かいますが、戻っても「そのまま別室で着脱するわけでもない。事務官らが活動しているダイニングホールの入り口付近で、ウイルスがついているであろう防護服を脱いで、ビニール袋に入れている状況で、区分などなかった」といいます。

 Aさんは、船内に感染対策の専門部署が設置されていることは確認できなかったとも証言。各部門の連携もきわめてあいまいで、厚労省の指揮統制が整っておらず「混乱した」と話します。

 また、乗客にサービスを提供する乗員への基本的な感染予防策の指導がまったく徹底されていなかったと強調。「食事を提供する現場スタッフから『マスクが1日に1、2個しか提供されない。本当ならダイニングホールや客階にいったら交換しないといけない。そういったことが徹底されていない』と聞いた」と劣悪な状態だったといいます。


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